三井物産爆破事件

三井物産爆破事件

1974年（昭和49年）10月14日に東京都港区で発生した三井物産爆破事件は、東アジア反日武装戦線「大地の牙」グループによって引き起こされた爆弾テロ事件であり、連続企業爆破事件の一つです。

事件の背景

標的となった三井物産は、かつての三井財閥の中核企業であり、三菱重工業などと共に戦前の日本経済を支えた旧財閥系企業の一社でした。東アジア反日武装戦線は、これらの企業を「犯罪企業」とみなし、テロの対象としていました。彼らは、日本の帝国主義的な過去と、それがアジア諸国に与えた影響に対する強い反発を抱いていました。

事件の概要

東アジア反日武装戦線には、複数のグループが存在していました。「狼」グループは、1974年8月30日に三菱重工爆破事件を起こしましたが、予想外の死傷者を出したことで活動は一時停滞していました。そこに、新たに齋藤和が率いる「大地の牙」が加わり、三井物産本社屋である物産館の爆破計画が実行に移されました。

1974年10月14日午後1時過ぎ、物産館3階の電算機室が爆破され、16人の負傷者が出ました。しかし、三菱重工爆破事件の教訓から、犯行グループは20分前に爆破予告の電話を入れ、爆弾の火薬量を減らすなどの対策を講じました。また、物産館自体の建物構造が堅牢であったことも被害を抑制する要因となりました。

事件後

事件後、物産館は一時的に警視庁本部の仮庁舎として使用されるという数奇な運命を辿りました。これは、警視庁本部の立替工事期間中（1977年～1980年）の措置でした。しかし、その後、物産館は取り壊され、その姿を消しました。

事件の影響と教訓

三井物産爆破事件は、日本の戦後社会に大きな衝撃を与えました。企業テロという手段を通じて、戦前の経済構造や企業の責任を問うという、過激な主張が社会に投げかけられました。この事件は、企業が社会的責任を果たすことの重要性や、テロリズムの脅威に対する警戒を促す契機となりました。

参考文献

松下竜一『狼煙を見よ 東アジア反日武装戦線“狼”部隊』
（読売新聞社・戦後ニッポンを読む、1997年） ISBN 4-643-97116-9
（河出書房新社・松下竜一その仕事22、2000年） ISBN 4-309-62072-8

関連項目

東アジア反日武装戦線
連続企業爆破事件
三井物産

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