三仏生遺跡

三仏生遺跡（清水上遺跡）

三仏生遺跡（さんぶしょういせき）、または清水上遺跡（しみずのうえいせき）は、新潟県小千谷市三仏生に位置する、縄文時代中期から弥生時代にかけての複合遺跡です。「清水上遺跡」として小千谷市指定史跡に指定されています。この遺跡から出土した縄文時代後期の土器は、三仏生式土器として知られています。

遺跡の概要

遺跡は信濃川左岸に位置し、信濃川が形成した沖積地帯の始端部にあたる、標高約15メートルの低台地状の河岸段丘上にあります。かつて丘陵の西側は信濃川の蛇行によってできた河跡沼湖の湿潤な地帯でしたが、現在は水田として利用されています。

地層

遺跡の地層は、越後山地周縁部の河川流域の台地や段丘に発達しているのが特徴です。地表から順に、耕土（厚さ約30センチメートル）、黒褐色土層（厚さ約30センチメートル）、薄層（厚さ約10-20センチメートル）、赤褐色砂質岩層（地山：厚さ約1メートル）、砂礫層となっています。特徴的なのは、安山岩漿の玻璃質を含む岩漿玻璃火山灰が60センチメートルから100センチメートルの厚さで堆積している点です。また、本黒色ローム層と不規則に接する下層は、黄褐色粗粒まじりの凝灰質砂質粘土層であり、中には流紋岩の風化礫や安山岩類礫を含んでいます。

発掘調査

遺跡の調査は、大正時代に三仏生村の小学校教諭であった細貝嘉明氏が遺物収集を開始したのが始まりです。1943年頃までには、信濃川が越後平野へ出る小千谷・片貝蒲原地区の豊富な先史遺跡の一つとして、専門家の間で高く評価されていました。

本格的な発掘調査は、1955年8月3日から9日にかけて、長岡市立科学博物館が主体となり行われました。日本考古学協会委員長の藤田亮策氏が発掘の指導にあたり、小千谷市教育委員会、長岡市、長岡市教育委員会公園も協力しました。

主な出土品

三仏生式土器

縄文時代後期の土器で、関東地方の加曽利B式土器と文様や装飾に類似点が多く見られます。また、把手状の巨大な突起は東北地方の同時期の土器と共通する特徴です。このように、関東と東北の要素を併せ持つことから、この地域が当時、東北地方と交流があったことを示唆しています。三仏生遺跡では、三仏生式土器は全出土量の22パーセント、精製土器の中では67パーセントを占めています。

その他の出土品

三仏生式土器の他にも、縄文時代中期から後期前半の三十稲場式土器、縄文時代中期・晩期の土器、安行式（前半）土器に対比するもの、土師様土器ないし石倉式土器と呼ばれる亀ヶ岡式土器に属するもの、多孔底土器、楕円捺型文土器、弥生土器、縄文の粗製土器（斜行縄文、撚紋・網上紋のある土器など）が出土しています。土器以外には、土錘、耳飾、土偶（破片）、石鏃なども発見されており、竪穴建物1軒、平地建物1軒の跡も見つかっています。

特に注目されるのは、大きな石鏃が出土している点で、当時、人々が鮭などを捕獲していたことが推測できます。信濃川の流路は現在とほぼ変わらないと考えられていますが、縄文時代には現在よりも水量が豊富であったと見られています。

参考文献

小千谷市 1969 『小千谷市史』上巻

関連項目

小千谷市指定文化財一覧
* 縄文時代の遺跡一覧

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