三剣一当流

三剣一当流（さんけんいっとうりゅう）

三剣一当流は、秋田県の角館という地域で生まれた柔術の流派で、河原田新右衛門次明によって元禄6年（1693年）に創設されました。この流派の起源は、剣術の巨川流、柔術の日下真流、末後流、そして組討の一至流に根ざしています。元々は「三拳一至流」という名称でしたが、二代目の横塚元之丞道長が改良を施し、現在の名称に変更しました。

歴史の変遷

三剣一当流の歴史は、明治時代に入り、石井甚右衛門の代に突入します。この時期に流派はより広がりを見せ、昭和には、12代目師範である佐々木竹五郎が角館町で「元禄角館三剣一當流研究事務所」を設立しました。彼は武家屋敷の門に看板を掲げ、流派の技術を継承し普及させる活動を行っていました。平成初期には秋田県角館町に伝承者が存在していましたが、現在の伝承状況については不明な部分も多いです。

技法の特徴

三剣一当流の技法は多岐にわたります。柔術においては、表七手、裏十七手、中（当身）、そして口伝が存在します。特に「三剣」と呼ばれる剣術は、半月之位、満月之位、是刻之位、仏心之位の五つの技から構成されており、すべてが「捨身の先法」を基盤としています。この捨身の先法という考え方は、流派の特異性を示しており、技術の特長とも言えます。

系譜

三剣一当流の系譜は、河原田新右衛門次明に始まり、横塚元之丞道長、横塚杢之助道豊、横塚久之丞道知、横塚五右衛門道弘、河原田新右衛門次順、須田五右衛門秀弘、河原田新右衛門次順（再）、高杉弥左衛門重秀、石井甚右衛門由忠、陶光慶、石橋菊治、高橋弥三郎、さらに佐々木竹五郎定綱（橘一得斎）から佐藤繁太郎、小松長兵衛、井木九左衛門へと続いています。これらの人物たちが流派の発展を支えました。

文化的遺産

三剣一当流の文化と歴史は、秋田県仙北市角館町にある報身寺の「元禄角館柔術三兼一到流」石碑によっても残されています。これにより、この流派が持つ伝統と技術が今に受け継がれることが期待されます。

参考文献

三剣一当流に関する参考文献には、1965年の『秋田魁新報』、そして『武芸帖』や『角館誌』などがあります。また、現代の研究者による文献も多く存在し、これらから流派の詳細を学ぶことができます。

このように三剣一当流は、多彩な技法と深い歴史を有する流派であり、今後の研究と伝承が求められています。

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