三和銀行オンライン詐欺事件

三和銀行オンライン詐欺事件：1981年、日本の金融システムを揺るがした巨額横領

1981年3月25日、当時三和銀行茨木支店に勤めていた女性行員が、オンラインシステムを悪用し、1億8000万円もの巨額横領を敢行しました。この事件は、日本の金融犯罪史上、特筆すべき出来事として記憶されています。

巧妙な犯行と大胆な逃亡劇

開店と同時に、女性行員は銀行のコンピュータ端末を操作し、大阪と東京の計4支店に開設した架空口座へ、1億8000万円もの架空入金を指示しました。その後、彼女は歯痛を訴え早退。大阪の支店から一部の現金を引き出し、飛行機で東京へ。東京の支店からも現金を引き出した後、現金5000万円と小切手8000万円相当、合計1億3000万円を恋人である実業家の男性に渡しました。そして、残りの預金通帳と恋人から受け取った500万円を持って、フィリピン・マニラへ逃亡したのです。恋人の方は、渡されたお金で日本で豪遊していました。

発覚と逮捕、そして裁判

事件の発覚は9月5日、新聞報道によるものでした。女性行員は国際指名手配され、マニラで逮捕。日本への強制送還中に、私文書偽造及び同行使詐欺、外国為替及び外国貿易管理法違反の容疑で逮捕されました。恋人についても、日本で逮捕されています。

1982年7月27日、大阪地方裁判所は、女性行員に懲役2年6ヶ月、恋人には懲役5年の実刑判決を言い渡しました。控訴はせず、判決は確定しました。女性行員は模範囚として、2年後の1984年8月に仮釈放されています。1990年には一般男性と再婚しました。

事件が社会に与えた衝撃と影響

この事件は、給与振込日と決算期が重なる3月25日という、入出金チェックが甘くなる日を犯行日に選んだこと、そして1億円以上の金額をたった一日で横領したその大胆さから、大きな社会問題となりました。当時の銀行システムとコンピュータセキュリティの脆弱性を露呈するものであり、世間に衝撃を与えました。女性行員がマニラでマスコミのインタビューに答えた際の発言「好きな人のためにやりました」は、当時の流行語にもなりました。

若い美人女性による犯行だったことも注目を集め、服役中は多くのファンレターが送られたと言われています。この事件をモデルとした小説、映画、テレビドラマなども数多く制作されました。また、この事件をきっかけに、コンピュータ犯罪が急増。1987年には、電子計算機使用詐欺罪が新設されるなど、法律も改正されました。

事件後、そして現在

事件に関わった各支店は現在も営業を続けています。ただし、事件の舞台となった茨木支店は、2015年に移転しています。この事件は、日本の金融システムの安全対策強化、そしてコンピュータ犯罪対策の必要性を改めて浮き彫りにした、重要な事件として記憶されています。事件は、当時の金融システムの脆弱性と、セキュリティ対策の重要性を改めて浮き彫りにしました。そして、この事件は、現代の金融システムにおけるセキュリティ対策の重要性を示す、歴史的な事件として記憶されています。

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