給与

給与の概要とその歴史

給与（きゅうよ）は、英語で「salary」と呼ばれ、雇用契約のもとで雇用主が従業員に定期的に支払う労働の対価を指します。給料や従業員収入とも呼ばれますが、法的には「賃金」という用語が使用されることが多いです。

給与の歴史

給与の語源には古代ローマの言葉「salarium」が関連しています。この言葉は兵士たちに支給されていた塩（Salt）に由来するとされますが、詳細な関係性は直接的には不明です。特に、「兵士」という単語がラテン語の「sal dare」つまり「塩を与える」に由来するという説が広く信じられています。また、ローマの歴史家ガイウス・プリニウス・セクンドゥスは、兵士の給料の由来は「海水」だと記しています。

日本においても、時代ごとに給与形態が変化しています。封建時代には主君から土地と農民を与えられ、戦国時代から江戸時代にかけては米の石高で支給されました。近代になると、法律の中で「給与所得」が規定されるようになり、給与には賃金の他に、俸給や賞与が含まれています。

日本の給与制度

日本の所得税法では、給与を「俸給、給料、賃金、歳費及び賞与」という幅広い定義で捉えています。このため、従業員の給与には固定的給与や変動的給与のような異なる分類が存在します。給与の総支給額は、固定的な部分と変動的な部分を合算し、勤務時間に基づいて決定されます。労働時間の正確な把握が給与決定に極めて重要になるのです。

支払方法と給与明細

企業ごとに異なる給与体系は、就業規則に基づいて定められます。従業員は、給与明細を通じて自分の給与体系を把握でき、明細書には基本給や各種手当などが含まれます。給与計算は会社の規定に従い、労働基準法では「賃金全額払いの原則」が適用されており、保険料や税金が控除される場合も同法に基づいて行われます。

給与の支払方法には、日払いや月給、年俸などさまざまな形があり、法律では給与は原則として通貨での直接支払いが求められます。しかし、多くの企業では振込が主流となり、特に大企業においては給与振込が一般的です。公務員の場合も、近年は全額振込支払いが進められています。

法律的な側面

給料は法律的な用語としても重要です。民法において労働者の報酬、地方公務員法では基本給とその支払い方法の定義があります。賃金と同義で使われることが多い給料ですが、その細部には法律的な区分が存在します。

給与の動向

近年の給与動向について見てみると、全産業の従業員給与は長年に渡って増加してきましたが、1995年以降はその伸びが鈍化し、2012年には顕著な減少が見られました。また、社会全体の経常利益が増加している一方で、従業員の給与は減少傾向にあるという規範が見受けられます。

世界の給与状況

アメリカにおいても、給与の支払形態には週払いと月2回の払いが一般的で、現在は振込が主流となっています。時折、「年俸1ドル」の制度が話題になります。この制度は、主に政府や大企業が非常時に採用し、名目上の支払いを利用して法律的要件を満たすための手法です。

結論

給与は単に労働の対価であるだけでなく、歴史的な背景や法律、社会の動向と密接に関係しています。雇用契約や税金、保険の仕組みを理解することで、給与の仕組みをより深く把握できるようになります。

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