三型滑走機

三型滑走機の概要

三型滑走機は、 大日本帝国陸軍によって開発された地上滑走専用の練習機で、初歩的な操縦技術の習得を目的としています。この機体は、地上での滑走練習を通じて、パイロットが必要な操縦感覚や整備の技術を身につけるために使用されました。さらに、三型滑走機の開発には、一型滑走機や二型滑走機との関連性があります。

開発経緯

1919年1月、フランスから来日した航空教育団が使用していたニューポール IVやモラン・ソルニエ MS12Rは、当初、飛行不可能な滑走練習機として役立てられました。この指導を受けて、陸軍は滑走練習機の開発に乗り出し、国産のロ式八〇馬力発動機を搭載した一型滑走機を少数製造しました。

その後、1920年には完全独自設計による三型滑走機が完成。二型滑走機は所沢支部や中島飛行機でも製造され、1921年までに15機が製造されましたが、三型滑走機は所沢支部のみで30機が生産されました。1925年以降、安定性の高い己式一型練習機の導入により地上滑走機による教育課程は廃止され、二型及び三型は民間に払い下げられました。

機体の特長

三型滑走機は小型軽量で肩翼式の単座単葉機です。機体は木製骨組みに合板と羽布で張られており、降着装置は固定脚を使用していました。試作機はブレリオ単葉機の部品を流用していましたが、生産型では新規に設計されたV字型の脚が採用されました。特に、飛行を禁止するため、翼幅は非常に短く設計されています。

二型滑走機においては、ニューポール 81を単座化し、翼幅の短い主翼を搭載し、エンジンの換装によるパワーダウンを施しています。これにより、滑走練習機としての機能が保たれながら、飛行はできない形となっています。

価格について

三型滑走機の販売価格は、1機あたりおおよそ4,000から4,213円であり、二型滑走機は3,720円程度でした（所沢支部製造分）。これらの機体は当時の航空機の中では比較的安価であり、初心者向けの教育用に適していました。

教育課程の変化

1925年以降、より安定性の高い己式一型練習機の導入により、二型および三型滑走機はすでに不要と判断され、民間に払い下げられました。中には、サーカスのテント内で見世物として使用されることもあり、観客からは回転腕木で吊るされるさまを目撃されました。しかし、テント内には排気ガスが充満し、観客は不快な思いをしたとの報告もあります。

こうして三型滑走機は大日本帝国陸軍の航空教育に一時的に寄与したものの、時代と共にその役割を終えることとなりました。

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