ニューポール IV

ニューポール IV

ニューポール IVは、1910年代初頭のフランスで設計された単葉機であり、主にスポーツや練習、さらには偵察機として使用されました。エドゥアール・ニューポールにより1909年に設立されたニューポール公開有限会社によって開発され、ニューポール IIやニューポール III.Aの改良型と位置づけられています。

設計と開発

初期のニューポール IVは50馬力のノーム・オメガロータリーエンジンを搭載していましたが、後により高出力のエンジンに換装されることもありました。1911年に製造が始まり、特にロシアでは第一次世界大戦まで生産が続けられました。ニューポール IVは、さまざまな航空部隊で運用され、多国籍に使用されたことが特徴です。

ロシア帝国空軍においては、ニューポール IV.Gが主力機の一翼を担い、約300機が国内製造されました。1913年には、ピョートル・ネステロフ中尉がこの機体を使って世界初の宙返り飛行を成功させ、話題となりました。当時のフランスでは、ニューポール IV.Mの10機が購入され、専用部隊が編成されるなど、戦闘機や練習機としての役割を担っていました。

多国籍の需要

ニューポール IVは、スウェーデン陸軍航空隊や大日本帝国陸軍航空部隊など、様々な国に採用されました。特にスウェーデンでは、複数の機体が寄贈され、実践的な訓練に使用されました。イギリスでも王立工兵航空大隊が同機を購入し、個人でも多くのパイロットがニューポール IVを所有していました。これにより、事故の調査が進められることになり、機体の性能が評価されました。

アルゼンチンやギリシャ、シャム（現タイ）などでもニューポール IVは運用され、各国の航空史に重要な役割を果たしました。特にイタリアでは、伊土戦争中に使用され、偵察任務にも従事したことがあり、この機体が戦争の初期に果たした役割を示しています。

派生型と現存機

ニューポール IVには、さまざまな派生型がありました。たとえば、IV.Gはスポーツ用途に、IV.Hは水上機として利用されました。一方で、IV.Mは軍用偵察機として設計されました。実際、IV.Mは容易に組み立てや分解ができるように設計されており、軍用運用にしっかり適応していました。

近年、スウェーデン空軍が運用していたモデルは博物館に保存されており、これによりニューポール IVの貴重な遺産としての地位が確保されています。他にも、スペイン航空宇宙博物館では、運用歴のある機体のレプリカが保存され、航空ファンや歴史愛好者に広く知られています。

結論

ニューポール IVは、その革新的な設計と多国籍での運用を通じて、第一次世界大戦とその前後の航空史において重要な意義を持った機体でした。今なお多くの航空博物館でその姿を見かけることができ、航空技術や歴史に興味がある人々に愛され続けています。

もう一度検索