三好勝彦

三好勝彦（みよし かつひこ） は、1926年に東京都で生まれた日本の元建設官僚です。国土における緑地の保全と創造、そして公園整備という分野で、そのキャリアを通じて重要な役割を果たしました。特に、国の緑地行政の中枢において要職を歴任し、その後の関連団体の運営においても指導的な立場を務めるなど、日本の造園や緑地に関する政策推進および事業実施に多大な貢献をしました。

学歴としては、1950年に北海道大学農学部を卒業しています。この農学分野での学びが、その後の緑地や造園といった自然環境に関わる行政実務の基礎となったと考えられます。

官僚としてのキャリアを建設省（現国土交通省）で積む中で、特に都市局の公園緑地課長という重要なポジションに就任したのは1973年のことです。この部署は、日本の都市における公園整備や緑化政策を企画立案する中心であり、高度経済成長期の都市化が進む中で、人々の生活環境における緑の空間の重要性が高まる時期でした。三好氏はここで、国の緑地行政の方向性を定める上で中心的な役割を果たしたと言えます。

建設省退官後も、その専門知識と経験を活かして、関連の財団や協会で要職を務めました。1981年には、沖縄国際海洋博覧会の開催を記念して設立された海洋博覧会記念公園管理財団の理事長に就任しています。この財団は、広大な国営公園の管理運営を担っており、三好氏は沖縄における重要な緑地空間の維持・発展に貢献しました。

さらに、1988年には公園緑地管理財団（現公園財団）の常務理事に就任し、1992年には副理事長を務めています。この財団は、国営公園や都市公園、緑地等の管理運営や調査研究を行う公益法人であり、三好氏はここでも組織運営の中核として、全国の公園・緑地の質の向上に尽力しました。

また、専門職能団体である一般財団法人日本造園修景協会の会長も歴任しており、造園業界全体の発展や技術向上、社会への貢献を推進する立場からも影響力を持ちました。1991年には自然環境保全審議会の委員も務めるなど、広範な視点から日本の環境政策に関わっています。

これらの公職や関連団体での貢献に対し、三好氏はいくつかの顕著な栄誉を受けています。1980年には、日本の公園緑地分野で特に功績のあった人物に贈られる権威ある賞の一つである、第6回日本公園緑地協会北村賞を受賞しました。これは、建設省在職中における緑地行政への貢献が評価されたものと考えられます。また、1998年には、国家や社会に対する長年の功労を称える日本の勲章である勲四等瑞宝章を受章しており、そのキャリア全体を通じた広範かつ継続的な貢献が認められたことを示しています。

三好氏の家族については、弟にマサオ・ミヨシ氏がいます。マサオ・ミヨシ氏は、アメリカ合衆国のカリフォルニア大学バークレー校で名誉教授を務めた文学・文化研究者であり、国際的にも著名な学者です。分野は異なりますが、兄弟ともにそれぞれの領域で重要な足跡を残しています。

三好勝彦氏のキャリアは、官僚として国土の緑地政策を推進し、退官後は関連の公益法人で公園・緑地の現場管理や組織運営を担い、さらに専門家団体のリーダーとしても活動するなど、多岐にわたります。彼の活動は、高度経済成長期から成熟社会へと移行する日本の都市環境において、失われがちな緑地空間を確保・維持し、人々の生活の質を高める上で極めて重要な役割を果たしました。建設省公園緑地課長としての政策立案から、広大な国営公園の管理運営、そして造園業界の発展への寄与に至るまで、その影響は日本の国土景観と人々の暮らしに深く根ざしています。受賞歴が示すように、その功績は広く認められており、日本の緑地行政史、造園史において特筆されるべき人物の一人と言えるでしょう。

もう一度検索