三宅康直

三宅 康直の生涯

三宅康直（みやけやすなお）は、江戸時代後期に活躍した大名であり、三河国田原藩の第11代藩主として知られています。彼は文化8年7月24日、1811年に生まれ、明治26年、1893年に83歳で亡くなりました。康直は播磨国姫路藩主・酒井忠実の六男であり、母は忠実の側室である於満寿でした。彼の正室は西尾忠善の娘で、継室には本庄宗秀の養女がいました。

藩主就任と改革

康直が藩主に就任するきっかけは、文政10年、1827年に先代の藩主三宅康明が病死したためです。当初、家臣たちは康明の弟である友信を推そうとしましたが、家計の困窮を解決するために酒井忠実の子である康直を養嗣子として迎えることに決まりました。その結果、康直は文政11年、1828年に藩主として迎えられました。

就任後、康直は藩の財政改善に取り組む一方で、1828年と1829年には田原城下で大火が発生したため、持参金を被災者の支援に充て、慎ましい生活を送りました。しかし、藩の財政状況は依然として厳しく、1830年には幕府から日光祭礼奉行に任命されたことで、さらなる財政危機に直面します。このため、康直は天保3年、1832年に渡辺崋山を年寄役に任命し、改革を進めました。

崋山は社交的で有能な改革者であり、彼の指導のもとで藩は民間との交渉を通じて複数の問題を解決しました。また、2人扶持の支給制度や格高分合制といった新たな人材登用制度を導入し、家格にかかわらず優秀な人材を重用する姿勢を見せました。このほか、農業政策も重視し、甘藷や櫨、椿といった問題商品性の高い作物の育成が奨励されました。

天保の大飢饉と挫折

しかし、康直と崋山の改革は予想外の事態に直面します。天保の大飢饉が襲い、藩内の食糧事情が悪化しましたが、崋山の手腕により備蓄が整っていたため、藩内での餓死者は出ませんでした。それでも藩に与えた被害は深刻であり、この状況は改革を進める上で大きな障害となりました。

さらに、崋山が幕府のお尋ね者である友人たちと交友をしたことで、彼は逮捕され、病院に送られることになります。これに伴い、康直も自身が崋山の影響を受けていることを恐れ、彼の改革が頓挫する危険に直面しました。崋山はその後、1841年に自ら命を絶ち、康直の改革は進展を見ないまま停滞します。

後継者問題

崋山の死後、康直は後継者問題に直面しました。彼は三宅氏の後継者には自分の実子を推そうとしたが、重臣たちはこれに懸念を抱き、反対します。この混乱の中で、康直は家老鈴木弥太夫と手を組み、実子を後継者にする動きを進めました。そこに危機感を覚えた重臣の真木定前が命を絶つ事態となり、結局康保を後継者とすることが決定されました。

晩年と死

康直は1842年に洋式砲術を取り入れ、1850年には藩の軍制を改革しました。そして同年11月に隠居し、家督を娘婿の康保に譲り、明治26年に亡くなりました。彼の墓所は愛知県田原市の霊巌寺にあります。

三宅康直の業績は、多くの改革を通じて田原藩の発展に寄与し、彼の存在は今なお語り継がれています。

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