三宅本店

株式会社三宅本店の紹介

株式会社三宅本店は、広島県呉市でオリジナルの日本酒「千福」を手がける酒造メーカーです。1856年に創業し、以来多くの歴史と伝統を有するこの会社は、「千福一杯いかがです」というキャッチフレーズで広く知られており、日本全国で愛飲されています。

歴史の歩み

三宅本店は創業当初、味醂（みりん）、焼酎、白酒の製造を行っていました。当初の屋号「河内屋」は地名から取られたもので、創業者の三宅清兵衛は元広島藩士でした。その後、1902年からは清酒の製造に着手し、当時の呉市ではわずか5軒の酒造が存在する中で、海軍の需要を見込んで事業を拡大していきました。

1906年には、竹原から蔵を2棟買い取り改修し、現在「明治庫」として知られる蔵が設立されました。1916年には「千福」の商標を登録し、海軍への軍用酒の卸業務も開始しました。この品質チェックは非常に厳格で、酒が長期間の航海に耐えられるかどうかが検証されるほどでした。

1923年には「千福」が全国新酒鑑評会で優等第一位を受賞し、翌年からは四季醸造のための「大正庫」が竣工されました。この時期から三宅本店は全国的に著名な酒造としての地位を確立していきます。

近代化と成長

1941年には公式に株式会社として改組、以降は日本一の醸造量を誇るようになりますが、1945年の呉軍港空襲で全社屋が焼失するという大きな試練も経験しました。その後、戦後の混乱を乗り越える中で、会社は新たなスタートを切り、1950年代からの成長期にはさらなる拡張が進みました。

1960年代には酒詰め工場のオートメーション化を図り、1970年からは「千福一杯いかがです」のCMが始まり、その名を広める重要な要因ともなりました。数十年の間に、千福は日本酒の中でも特に有名な銘柄の一つとして、多くの人々の知るところとなりました。

製品の特徴と地域密着型の姿勢

三宅本店は「千福」をはじめ、多様な銘柄を展開しています。「千福」ブランドの中には、千福大吟醸酒や純米大吟醸酒、吟醸酒などがあり、各種の原料に地元の酒米を使用しています。また、大長レモンを使用したリキュールなど、地域素材を生かした新しい挑戦も行っています。

さらに、旧海軍経験者が愛飲者として多く、またダークダックスが歌うCMの影響から、全国各地にファンを持っています。特に、三宅本店は映画『この世界の片隅に』への協力を通じて、より深い地域の文化との関わりを持つようになりました。

今の位置づけと未来への展望

三宅本店は「千福」の名の下に、時代に応じた新たな展開を加えていく姿勢を維持しています。2024年にはウイスキーの製造にも乗り出す予定であり、さらに大規模な変革を迎えようとしています。ほかにも、酒工房せせらぎという施設で見学も可能で、来店者にその魅力を伝えています。

おわりに

株式会社三宅本店は、日本酒の伝統と革新を融合させて、新しい価値を提供し続けています。これからも地域の人々に寄り添いながら、愛される酒造りを続けていくことが期待されます。

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