三岳城

三岳城：井伊氏の歴史を刻む山城

三岳城は、静岡県浜松市浜名区引佐町三岳、標高467メートルの三岳山山頂に位置する山城です。この城は、井伊氏にとって戦時における重要な拠点であり、その歴史を物語る貴重な史跡として、1944年（昭和19年）に国の史跡に指定されました。

南北朝時代の築城と宗良親王

三岳城の歴史は、南北朝時代に遡ります。当時、井伊氏は南朝方に与し、この城を拠点としていました。後醍醐天皇の皇子である宗良親王が遠江国（現在の静岡県西部）に入ると、井伊氏は親王を迎え入れ、三岳城をその拠点としました。しかし、1340年（北朝:暦応3年/南朝:延元5年）には北朝勢力の攻撃を受け、城は落城しました。

戦国時代の再利用と今川氏との抗争

その後、戦国時代に入ると、井伊氏は再び三岳城を利用しました。この時期、井伊氏は駿河国（現在の静岡県中部）の守護大名である今川氏と激しく対立しており、三岳城はその抗争の地となりました。しかし、1513年（永正10年）に再び落城し、その役割を終えました。

現在に残る遺構

現在、三岳城跡には、当時の土塁や空堀、石積などの遺構が残っています。これらの遺構は、戦国時代に造られたものと考えられており、当時の築城技術や城郭構造を知る上で貴重な資料となっています。文化庁もこの城跡について重要な歴史的価値を認めています。

三岳城は、井伊氏の興亡を物語るだけでなく、南北朝時代から戦国時代にかけての日本の歴史を体感できる場所です。山頂からの眺望も素晴らしく、歴史好きだけでなく、自然を愛する人々にとっても魅力的な場所と言えるでしょう。

参考文献
* 静岡県日本史教育研究会 2010「三岳城跡と北岡大塚古墳」『静岡県の歴史散歩』山川出版社 pp.293-294

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