三島由紀夫vs東大全共闘〜50年目の真実〜

三島由紀夫vs東大全共闘〜50年目の真実〜

『三島由紀夫vs東大全共闘〜50年目の真実〜』は、2020年3月20日に公開された日本のドキュメンタリー映画です。この作品では、1969年5月13日に東京大学駒場キャンパスで開催された三島由紀夫と東大全共闘との討論会に焦点を当てています。映画の宣伝用ポスターには「圧倒的 熱量を、体感」というキャッチコピーが掲げられ、多くの人々の関心を引きました。

この討論会は、当時の日本における社会情勢と若者の意識の変化を象徴する重要なイベントと位置付けられています。三島由紀夫は、文豪として知られるだけでなく、右翼思想の象徴とも言える存在であり、討論会では彼独自の思想や美意識が議論されました。一方、東大全共闘は、日本の大学における学生運動の象徴的存在であり、急進的な社会改革を求める姿勢を示しました。

映画は、唯一この討論会を取材し、映像を撮影したテレビ局であるTBSから提供されたフィルムを基にしています。新たに発見された緑山スタジオのフィルムを高精細に復元し、歴史的瞬間を生々しく伝えています。また、当時の関係者や現代の文学者・ジャーナリストへのインタビューも交え、討論会の背景や影響を詳細に解説。賛否が分かれる意見がぶつかり合う様子が、より深く理解できる構成となっています。

この映画が特に注目される理由の一つは、当時の社会状況や文化的背景が色濃く反映されていることです。1960年代後半、日本は安保闘争や学生運動が盛んであり、政治的緊張が高まっていました。三島の思想は、その中で一つの立場を示し、若者たちに多くの刺激を与えました。同時に、東大全共闘の反発や反論もまた、当時の若者たちの思考を象徴していると言えます。

公開後、この映画は多くの賛辞を受け、多様な映画賞を受賞しました。第45回報知映画賞特別賞や第30回日本映画プロフェッショナル大賞特別賞を受賞し、その影響力は今もなお広がっています。また、討論会の内容は、映画『ミシマ:ア・ライフ・イン・フォー・チャプターズ』でも再現されており、三島由紀夫の複雑な人生と思想の理解を深める重要な資料として位置づけられています。

このドキュメンタリーを通じて、観る者は単なる歴史の事実に触れるだけでなく、今も続く社会や文化の問題について考えるきっかけを得ることができます。三島由紀夫の言葉と、当時の学生運動のエネルギーが交わるこの映画は、観る者に強いメッセージと感情を伝える作品です。

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