三島駅乗客転落事故

三島駅乗客転落事故の詳細

1995年12月27日、東海道新幹線の三島駅で発生した乗客転落事故は、同路線史上初めての死亡事故となりました。この事故は、東京から名古屋へ向かう新幹線「こだま475号」の停車中に起こりました。18時31分に三島駅到着後、列車は3分間の停車を行っていました。その停車中、高校生がホームで公衆電話を使用していた際、発車予告ベルが鳴り響き、急いで自分の座席へ戻ろうとしました。

高校生は6号車後部の乗降口に駆け込みましたが、発車時刻に間に合わず、閉まる扉に指を挟まれてしまいました。彼は、指を挟まれていることを伝えようとしましたが、乗務員や駅員はその事態に気づかず、列車は運行を続けてしまいました。高校生は約90メートルにわたってホームを伴走した後、転倒し、さらに約160メートルにわたって引きずられてしまいました。最終的に、彼はホームの端から転落し、列車の車輪にひかれて即死しました。

この事故の直接的な原因は、高校生の駆け込み乗車でしたが、乗務員やホームの駅員が事故の発生を予見できなかったことも大きな要因でした。実際、駅員は彼を見つけたものの、他の乗客と混同し、見逃してしまいました。このような事故は過去にも発生していたものの、その教訓は活かされていなかったと考えられます。

また、当時の新幹線の設計に問題があったことも指摘されています。例えば、旧型車両ではドアが開くと、すぐに気密を押さえる装置が機能するため、挟まれた部分が抜け出せない構造が悪影響を及ぼしました。この事故後、乗客が挟まれた際に警告灯が点灯しない仕組みも問題となりました。

事故後の対策

事故の結果、JR東海は全車両のドア閉め装置を改修し、戸閉め力を軽減しました。さらに、ホームには非常停止ボタンが設けられ、一般家族で使用可能なものに変更されました。他にも新幹線駅への安全柵やホームドアの設置を進め、監視カメラの増設など、安全対策が強化されました。

また、駆け込み乗車防止の啓発活動も強化され、停車時間中の降車を控えるようにとの案内が促進されました。新型車両には、ドア閉め後の圧力を軽減する装置も装備されるようになりました。

事故の法的処理

事故後、車掌長と監視業務を担っていた駅員が業務上過失致死で書類送検されましたが、車掌長は不起訴処分となりました。一方、輸送主任は過失があったとされ、罰金が科せられました。また、被害者家族からの訴訟もあり、裁判所はJR東海の過失を認定しましたが、被害者にも過失があったとして、一定の賠償金が命じられました。

このように、三島駅での乗客転落事故は、多くの教訓をもたらし、鉄道の安全対策を見直す契機となりました。今後も再発防止に向けた取り組みが求められています。

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