三帝の角

三帝の角：三つの帝国の交差点

三帝の角（さんていのかど）は、ポーランドのムィスウォヴィツェ、ソスノヴィエツ、ヤヴォジュノという3つの都市の近郊、白プシェムシャ川と黒プシェムシャ川が合流する地点に位置していました。1871年から1918年までの間、この場所は、ポーランドを分割統治していたドイツ帝国、オーストリア＝ハンガリー帝国、ロシア帝国の国境が一点に集まるという、特異な三国国境でした。

歴史的背景

19世紀、ポーランドは分割統治下に置かれ、国境線は複雑に変動しました。1846年のクラクフ蜂起の失敗後、オーストリア帝国がクラクフ自由市を併合。これにより、白プシェムシャ川の左岸はオーストリア帝国の一部となりました。一方、黒プシェムシャ川の右岸の上シレジアは、1742年にプロイセン王国に併合されていました。1815年のウィーン会議の結果、二つの川の間は事実上ロシア帝国領であるポーランド立憲王国の一部となり、この地点が三国国境、すなわち「三国の角」と呼ばれるようになりました。

1871年、プロイセン王がドイツ皇帝となりドイツ帝国が成立すると、この地点に集まる国々が全て帝国となったため、「三帝の角」と改称されました。しかし、第一次世界大戦の結果、三つの帝国は崩壊し、1918年にポーランド第二共和国が成立したことで、この三国国境は消滅しました。

同様の三国国境は、ポーランド・リトアニア共和国が終焉を迎えた1795年にもニエミルフ村付近に存在しました。そこでは、プロイセン、オーストリア、ロシアが国境を接していましたが、1807年にナポレオン1世によってワルシャワ公国が成立したことで解消されました。

三帝の角の隆盛と終焉

第一次世界大戦まで、三帝の角はドイツ帝国を中心に人気の観光地でした。遊覧船が運航され、1907年にはドイツ当局によって、高さ22mのビスマルク塔が建設されました。当時の新聞報道によると、毎週数千人もの人々がこの地を訪れていたとされています。しかし、1919年にオーストリア＝ハンガリー帝国とロシア帝国の旧領土にポーランド第二共和国が成立したことで、この三国国境は廃止されました。ドイツ領の一部も、1921年の住民投票によってポーランド領に移管されました。

ビスマルク塔はポーランド領となった後も残り、「自由の塔」と呼ばれましたが、1933年に解体されました。

現在、この一帯は工業地帯となっており、1990年代までその歴史は忘れられていました。2004年に記念碑が設置されましたが、「ポーランドが3つに分割された場所」という碑文は史実とやや異なっていたため、2012年に「かつての三国国境」と修正されました。

関連項目

神聖同盟
三帝同盟

脚注

[外部リンク]

(ドイツ語) Old German postcards from Dreikaisereck
(ドイツ語、ポーランド語) On the Bismarck Tower (Polish/German)

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