三国国境

三国国境とは

三国国境とは、文字通り3つの国の国境が一点で接する地点のことです。英語では「tripoint」と呼ばれますが、この言葉は必ずしも国境に限らず、州境や県境など、行政区分の境界が3つ交わる場所も指します。

三国国境の概要

世界には約176の三国国境が存在するとされていますが、これはあくまで推定値であり、未確定の国境線が存在するため正確な数は定まっていません。三国国境は、地形的な特徴から河川の合流点や山頂に位置することが多く、その約半分は水中に存在します。陸上の三国国境には、正確な位置を示す標識やモニュメントが設置されるのが一般的です。

島国である日本には三国国境は存在しませんが、バーレーンやシンガポールのような国には海上の国境に三国国境が見られます。また、ポルトガルやアイルランドのように、一つの国としか接していない国にも三国国境はありません。国境を接する国が多いほど、三国国境も多くなる傾向があり、中国には16、ロシアには11から14の三国国境が存在します。ヨーロッパでは、内陸国であるオーストリアに9つの三国国境があり、特にリヒテンシュタインはオーストリアとスイスに挟まれているため、この3国間には2つの三国国境が存在します。同様に、ある国が2国間に挟まれているため、同一の3国間に2つの三国国境が存在する例としては、モルドバ、アンドラ、エスワティニ、ネパール、ブータン、モンゴルなどがあります。

アゼルバイジャン、トルコ、アルメニアの三国国境と、アゼルバイジャン、トルコ、イランの三国国境は、わずか10kmしか離れていません。また、ロシア、中国、モンゴルの三国国境と、ロシア、中国、カザフスタンの三国国境は約40kmの距離にあります。ザンビア、ナミビア、ボツワナ、そしてザンビア、ボツワナ、ジンバブエの三国国境は非常に近く、約150mしか離れていません。過去には、4つの国境が完全に一点に集まっていた例（中立モレネなど）もあり、現在でも州境などでは多数の例が存在します。

三国国境の越境と法規制

通常、出入国管理を受けずに国境を越える行為は違法であり、三国国境を周回することも同様です。しかし、シェンゲン協定によって定められたシェンゲン圏内では、自由に国境を越えることができます。また、三国国境に関わる国同士の関係が良好な場合、観光客が容易に三国国境を周回できるよう、国境検問所を実際の国境から少し離れた場所に設置することがあります。オランダ、ベルギー、ドイツの三国国境（ドライレンダープンクト、ファールセルベルク）は、オランダ側が観光地化しており、ドイツ側からも観光ルートとして周知されています。

三国国境の位置決定

国境線の正確な位置は、国境を接する国同士の条約によって決定されます。そのため、三国国境の位置を決定するには、三国間の合意が必要です。例えば、中国、ロシア、モンゴルは、1994年に締結された三国間協定に基づき、2つの三国国境の位置を決定しました。東の三国国境はGoogleマップで標識を確認できる地点にあり、西の三国国境はタワン・ボグド山の山頂とされています。

三国国境の著名な例

以下は、特に有名な三国国境の例です。

三国ケルン - フィンランド、ノルウェー、スウェーデン。
世界最北の三国国境で、湖の中に標識が設置されています。
ファールセルベルク（ドライレンダープンクト） - ドイツ、オランダ、ベルギー。
バーゼル ドライレンダーエック - ドイツ、フランス、スイス。
正確な三国国境は川の中にありますが、標識は設置されていません。
シェンゲン付近のモーゼル川 - ドイツ、フランス、ルクセンブルク。
シェンゲン協定が締結された場所として知られています。
トリプレ・フロンテラ - アルゼンチン、ブラジル、パラグアイ。
トレス・フロンテラス - ブラジル、ペルー、コロンビア。
モン・ドラン - イタリア、フランス、スイス。
正確な三国国境は山頂から少し離れた場所にあります。
ブラチスラヴァ - スロバキア、ハンガリー、オーストリア。
世界で唯一、三国国境のある首都です。

過去の三国国境

歴史上存在した三国国境の例としては、以下が挙げられます。

三帝の角 - オーストリア＝ハンガリー帝国、ロシア帝国、ドイツ帝国。
ドライシュプラーヘンシュピッツェ（三言語の山） - オーストリア＝ハンガリー帝国、イタリア王国、スイス。
三王国の岩 - ガリシア王国、レオン王国、ポルトガル王国。
三国王の峰 - バレンシア王国、カタルーニャ君主国、アラゴン王国。

まとめ

三国国境は、単なる地理的な地点ではなく、国境、歴史、文化、そして国際関係が交差する場所です。これらの地点を訪れることは、異なる国々がどのように隣り合っているのかを理解する上で、貴重な経験となるでしょう。

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