三星城

三星城（みつぼしじょう）

三星城は、岡山県美作市明見に位置する山城であり、美作市の指定史跡となっています。後藤氏の居城として歴史に名を刻み、宇喜多氏の侵攻によって落城しました。

概要

三星城は、山に屋敷を設けた山城と考えられており、城の東側には吉野川が流れています。現在でも、屋敷があったと思われる整地された場所が残っており、往時の面影を偲ぶことができます。城のある山は三星山と呼ばれ、地域の人々に親しまれています。

歴史・沿革

名前の由来

三星城の名前の由来として最も有力な説は、山の峰が3つに分かれていることにちなむというものです。この地形が、城の名前の由来として広く受け入れられています。

三星城落滅のころ

天正7年（1579年）4月下旬、延原景光率いる宇喜多家の軍勢は、茶臼山城などの拠点を次々と攻略し、後藤勝基が守る倉掛山を目指しました。三星城にいた後藤家の安藤相馬、難波利介、柳澤太郎兵衛らは、倉掛山へ向かう宇喜多家の軍勢が大軍であることを知り、軍議を開いて策を練りました。彼らは、倉掛山に押し寄せる敵を前後から挟撃することを決定し、後藤久元、小坂田吉詮、下山正武、浦上景行の4人を倉掛山の援軍として派遣しました。4人は手勢を率いて荒木田村深山に潜み、宇喜多家の軍勢の背後を突く作戦を実行しました。

援軍派遣から3日も経たないうちに、宇喜多勢は三海田村（現在の美作市栄町）に侵攻しました。その勢いはまるで鯨が波を立てるかのようであったと伝えられています。4人は宇喜多勢に先んじて倉掛山に入城し、迎え撃つ態勢を整えました。前後からの攻撃を受けた宇喜多勢は佐瀬村まで退却し、後藤勢は追撃を敢行し、景光の郎党17騎を討ち取るという戦果を挙げました。後藤久元は景光との一騎打ちで深手を負わせましたが、討ち漏らしたことを悔やんだとされています。その後、後藤勢は倉掛の城に火を放ち撤退しました。

宇喜多勢は鳥貝山まで退却した後、手薄になった三星城へ攻め寄せました。しかし、後藤勢もすぐに三星城へ戻り、宇喜多勢を撃退しました。その後、景光は和田助四郎と相談し、鳥貝山を勝間と改名して籠城しました。宇喜多直家からの援軍として西尾文五郎が加勢に駆けつけ、景光は湯郷村長光寺の住職を招き入れ、後藤家に内応する者を探させました。その結果、住職と親しい安藤相馬が内応することになりました。

景光は大軍を率いて再び三星城に攻め込みました。兵力で劣る後藤勢は奮戦しましたが、戦いが佳境に入った頃、安藤相馬が城内から火を放ち裏切りました。この裏切りを合図に宇喜多勢は猛攻を加え、西の丸を守っていた難波利介と柳澤太郎部衛は城を脱出して荒木田へ退却しましたが、宇喜多勢に追討され、手傷を負いながらも自刃しました。柳澤太郎部衛は83歳、難波利介は47歳でした。

大将の勝基は郎党27騎を率いて城を脱出しましたが、入田中山村付近で追撃してきた宇喜多勢の大軍と交戦し、長内村の隠坂まで落ち延びた後、自害しました。

宗國寺

三星山にはかつて宗國寺という寺院が存在しました。元亀・天正の頃、浦上宗景が国内の兵乱を憂い、要害の地である三星山に父である浦上宗國の墓を築き、寺を建立して父の字を寺号としました。その後、寺は倉敷に移転しましたが、残っていた建物は宇喜多氏が三星城を攻めた際に城郭と共に焼失しました。

交通アクセス

JR岡山駅より：宇野バス「湯郷温泉・林野駅行き」に乗車し、約1時間30分後、「栄町」停留所にて下車、徒歩10分。
JR林野駅より：宇野バス「岡山駅・表町バスセンター行き」に乗車し、約2分後、「栄町」停留所にて下車、徒歩10分。

脚注

参考文献

『東作誌』
『美作太平記』

関連項目

* 日本の城一覧

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