三木澄子

三木澄子

三木澄子（みき すみこ、1908年1月2日 - 1988年4月16日）は、昭和期に活躍した日本の児童文学作家です。少女小説を中心に、数多くの作品を世に送り出しました。旧姓も三木といいます。

生涯

長崎県長崎市に生まれた三木澄子は、愛知県立第一高等女学校（現在の愛知県立明和高等学校）を卒業後、文芸の世界に足を踏み入れます。1926年には、詩の同人誌『花畑』を菊田一夫、安藤一郎らと共に創刊し、創作活動を開始しました。

1929年、『婦人サロン』（文藝春秋）の懸賞小説で「試験結婚実話 一週間」が入選。同誌にエッセイを寄稿するなど、文筆家としての道を歩み始めます。1936年には会社員の磯野栄蔵と結婚しました。

1941年、小説「手巾の歌」が第13回芥川賞候補となりましたが、受賞には至りませんでした。しかし、この作品は彼女の才能を広く知らしめるきっかけとなりました。

戦後、1947年に『文藝春秋』へ「石段」を発表。1949年には『文學界』編集長であった庄野誠一の勧めにより、ジュニア小説「星座」を執筆し、これが児童文学作家としての転機となります。以降、数多くのジュニア小説を発表し、少女たちに夢と希望を与えました。

1961年、『ひなぎく咲く花』で小学館文学賞佳作を受賞。1974年には北海道網走市に移住し、自然豊かな土地で創作活動を続けました。1982年には、長年の児童文化への貢献が認められ、児童文化功労者として表彰されています。

1984年からは『文芸網走』にて「晩祷」の連載を開始しましたが、1988年、網走市内の喫茶店で倒れ、心不全のため急逝しました。生涯を通じて、児童文学の発展に尽力した作家でした。

主な作品

三木澄子の作品は、少女たちの繊細な心情を描いたものが多く、恋愛や友情、成長といったテーマを扱っています。代表作として以下のような作品があります。

匂い菫（妙義出版社、1949年）
紫水晶（ポプラ社、1951年）
クララ・シューマン 愛と芸術の母（ポプラ社、偉人伝文庫、1952年）
さくら草物語（ポプラ社、1953年）
国木田独歩 武蔵野の詩人（ポプラ社、偉人伝文庫、1953年）
北斗星のかなた（ポプラ社、1955年）
まつゆき草（ポプラ社、1955年）
シューベルト（偕成社、児童伝記全集、1958年）
ナイチンゲール（偕成社、なかよし絵文庫、1958年）
星の広場（集英社、コバルト・ブックス、1966年）
遠い花火（集英社、コバルト・ブックス、1967年）

その他、コバルト文庫を中心に多数の作品を発表しています。また、海外の名作児童文学の再話も手がけており、子供たちに広く親しまれました。

評価と影響

三木澄子は、戦後の少女小説の発展に大きく貢献した作家の一人として評価されています。その作品は、少女たちの心を捉える繊細な描写と、夢と希望に満ちたストーリーが特徴です。彼女の作品は、多くの少女たちに勇気と感動を与え、児童文学の世界に大きな足跡を残しました。

関連項目
日本の小説家一覧
* 児童文学作家一覧

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