三本指の男

映画『三本指の男』について

1947年に公開された『三本指の男』は、時代劇スター片岡千恵蔵が私立探偵の金田一耕助を演じるミステリー映画です。この作品は、著名な作家横溝正史の小説『本陣殺人事件』を原作としており、戦後の日本における本格ミステリーブームの先駆けとなりました。映画は高い評価を受け、東映によるシリーズ化が進められ、片岡により主演された映画が合計6本制作されることとなりました。

ストーリーの概要

物語は、私立探偵金田一耕助が岡山県の伝統的な一柳家の結婚式に招かれるところから始まります。一柳家の当主賢造の婚約者である春子と、金田一が知り合いの久保銀造の関係を通じて物語は展開します。結婚式に向かう列車の中で金田一は春子の友人である白木静子と偶然出会いますが、彼女は金田一に対して冷たい態度を見せます。

一柳家は貴族的な家柄であり、春子の結婚には反対する親族も存在し、そこで不穏な空気が漂っていました。春子の結婚に関する不安を抱えた金田一は、事情を独自に探り始めます。しかし、その矢先、新婚初夜に密室で夫婦の賢造と春子が惨殺されるという衝撃的な事件が発生します。付近では目撃されていた謎の三本指の男が大胆不敵な姿を見せており、警察は彼を犯人として捜査します。

金田一は静子からの支援を受けて捜査を続け、岡山県警の磯川警部らと連携しながら密室殺人のトリックを解明していきます。事件の背後には賢造の結婚を阻止するために、親族が企てた裏工作が関与していることが次第に明らかになっていくのです。最終的に、金田一の調査によって思わぬ真実が暴露され、物語は驚きの結末へと向かいます。

映画化に関する製作エピソード

『三本指の男』というタイトルは、原作で使用されていた「殺人」という言葉がアメリカ占領軍による検閲で問題視されたため、変更されました。この映画は劇団「文学座」の協力により製作され、多くの名優が出演している点でも注目される作品です。

ストーリーの背景や設定も一部変更されており、原作が昭和12年に設定されているのに対し、映画では戦後の時代を反映し、封建的な親族たちの影響が物語の中心となっています。壮大なトリックやキャラクターの心情を丁寧につむぎながら、最後には金田一自身が三本指の男としての存在を示す、意外な展開となります。

キャスト

本作には、片岡千恵蔵を中心に豪華なキャストが揃っています。

• - 金田一耕助：片岡千恵蔵
• - 久保銀造：三津田健
• - 妻お徳：松浦築枝
• - 姪春子：風見章子
• - 白木静子：原節子
• - 一柳糸子：杉村春子
• - 一柳賢造：小堀明男等

まとめ

『三本指の男』は、1947年の日本映画史における重要な作品として位置づけられており、後のミステリー映画に多大な影響を与えました。巧妙なストーリー、演技力豊かなキャスト、時代の空気を反映したテーマが相まって、今なお視聴者の心に残る名作と言えるでしょう。

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