三条制札事件

三条制札事件

三条制札事件（さんじょうせいさつじけん）は、1866年10月20日（慶応2年9月12日）に発生した、幕末の日本で重要な衝突事件です。この事件は、京の治安を維持する役割を担っていた新選組と、土佐藩士たちとの間で起こりました。事件の背景には、幕府の権威失墜や京都における政治的な緊張がありました。

制札の掲示

1865年、第二次長州征伐の失敗以降、幕府はその権威を大きく失うこととなります。その中で、1866年には長州藩を朝敵とする内容の制札が、三条大橋西詰の高札場に掲げられました。これに対する抵抗感が高まる中、京の市民間では長州藩への同情が広がっていました。

背景と発端

事件発生の前年から、京都では幕府が掲げた制札が繰り返し引き抜かれるという事例が発生しました。特に三条大橋に掲げられた制札は、3度にわたって引き抜かれ、鴨川に捨てられる事態となりました。このため、新選組は制札の警備にあたり、三条大橋を中心とする複数の拠点に隊士を配置して警戒することになりました。

事件の経過

事件の当日、原田左之助をはじめとした新選組の隊士たちは、酒屋などに配置されていました。そして、夜の深い時間帯に、三条大橋西詰に不審者たちが現れ、制札を引き抜く動きを見せます。原田隊が急行すると、犯人たちは逃走しながらも抜刀し、激しい斬り合いが開始されました。後から追加された新井隊も応戦し、新選組は有利に戦闘を展開しました。

しかし、混乱の中で、敵を挟み撃ちするための連携がうまくいかず、計画通りには進行できませんでした。この結果、8名の犯人のうち、6名を逃してしまうという厳しい結果となりました。

事件の結末

捕まった犯人たちの調査から、彼らが土佐藩の士族であることが明らかになりました。討たれたのは藤崎吉五郎であり、捕縛されたのは宮川助五郎という名の士族でした。また、この事件で奔走した安藤鎌次は重傷を負い、翌日には亡くなっています。

過去の明保野亭事件の影響もあり、新選組は土佐藩との対立を避けたかったため、事件の収拾は急務でした。最終的には、事件の収束を図るために、土佐藩と会津藩との間で手打ちの酒宴が行われ、関係が修復されることとなりました。

さらに、事件を契機として、士族たちの間で長い刀を差すことの使いにくさが認識され、流行が終焉することにもつながりました。新選組の隊士たちには報酬が与えられ、特に原田左之助には20両が授与されました。その一方で、臆病な行動を取った浅野薫は新選組から追い出されることとなりました。

以上のように、三条制札事件は幕末の日本における政治的背景や、様々な勢力との衝突が織りなす重要な出来事であり、その影響は後の時代にも及びました。

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