両

両（りょう）についての詳細

両（りょう）は、日本の尺貫法における質量の単位であり、また、近世日本や古代中国で通貨単位として使われていた重要な概念です。ここでは、両の質量単位としての役割や、通貨単位としての歴史的背景を詳細に解説します。

質量単位としての両

質量の単位としての両は、匁（もんめ）の10倍にあたります。日本においては、1両は10匁、貫の100分の1、斤の16分の1とされていました。奈良時代に成立した大宝律令では、当時の一両の質量はおおよそ41〜42グラムと規定されていましたが、その後の唐代による影響で、約11%減少し、約37.3グラムとなりました。そのため、日本でも当時の中国の両に近い質量が認識されました。

明治以降、日本国内では尺貫法がほとんど使用されず、両という単位も段々と忘れ去られていきました。なお、現代の中国では、市両と呼ばれる1両の質量が50グラムと定められています。両の文字自体は「二つ」を意味し、古代中国における重量基準とも密接に関連しています。

通貨単位としての両

金貨に関しては、戦国時代の武田信玄が甲州金を鋳造し、両という単位が確立されました。この通貨は江戸幕府に引き継がれ、1両は4分、また16朱に相当します。一枚の小判の価値もこの金貨の1両に相当し、さらに二分金や一分金、または一分銀など、他の貨幣とも交換可能でした。明治時代に「円」が導入されると、最初は「1圓は1両」として通用しました。

江戸時代においては、両は実際の価値と額面が影響し合いながら変化しました。たとえば、慶長小判の時代には、金の含有量が1両あたり4.4匁（約16.8グラム）とされていましたが、その後の改鋳により、質量の増減と通貨単位としての乖離が進みました。

中国における両の変遷

両は古代中国で従来の基準に基づいて使われ、様々な改良が加わりました。漢代の記録では、両は24銖を基準としており、1両は14.167グラムとされています。その後、南北朝時代を経て、隋、唐と続く中で、両の単位はさらに細分化され、大小二つの基準が設けられることとなりました。清代には、庫平両という標準が採用され、後にこれが37.301グラムとされています。

現代の中国では、国民政府が新たに市制を導入し、1両を31.25グラムに減少させ、その後中華人民共和国では更に基準が変更され、逆に50グラムに相当する「両」が一般的となりました。このように両の質量単位は長い歴史を持ち、さまざまな場面で運用されてきました。

日本における両

日本においても、唐代から両の概念が導入されました。江戸時代初期、両は商取引や質量計測において重要な役割を果たしました。しかし、寛文元年に度量衡が統一され、両の使用が厳格に管理されるようになります。質量の確認には後藤分銅が用いられ、これが両を基準として測定されていました。

また、江戸時代中期には両の使用は減少し、明治時代以降は「円」に取って代わられ、それに伴い両も公式には使われなくなりました。ただし、日常的な金銭の流通や、薬種の量目で使われる事例は残存していました。江戸時代の「両」は、実際の貨幣価値と重さがしばしば認識されるようになり、さまざまな物価や労働賃[[金]]の基準とも結びついていました。

日本と中国の両の歴史を通じて、この単位は文化や経済に深く根付いており、他の単位と共に人々の生活に影響を与えてきたことがわかります。

まとめ

両はただの単位ではなく、文化的および経済的な背景を持つ重要な要素であり、歴史の中で変化し続けています。日本と中国それぞれの文脈での両の使われ方を理解することで、古代から近代にかけての商業や流通の様子を一層深く知ることができます。

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