三枝匡

三枝匡（さえぐさ ただし）

1944年9月22日生まれ。日本の実業家であり、事業再生の専門家として著名です。ミスミグループ本社名誉会長、第2期創業者という肩書きを持ち、一橋大学大学院経営管理研究科客員教授や内閣府参与も務めるなど、幅広い分野で活躍しています。

生い立ちとキャリア

東京都出身で、東京都立戸山高等学校を経て、1967年に一橋大学経済学部を卒業。その後、三井石油化学工業（現三井化学）に入社しました。キャリアの初期にはボストン・コンサルティング・グループの国内採用第1号コンサルタントとして活躍。東京とボストンでの勤務を経て、1975年にはスタンフォード大学経営大学院で経営学修士（MBA）を取得しました。

帰国後は、米国バクスター社と住友化学の合弁会社社長、ベンチャーキャピタル会社社長などを歴任。その後、事業再生専門家として独立し、1986年に株式会社三枝匡事務所を設立。数々の不振企業の再建に取り組みました。特に、（株）コマツの「産機事業本部」の事業再生は、著書『V字回復の経営』に詳しく記されています。

ミスミグループでの活躍

2001年にミスミの社外取締役に就任。2002年6月にはミスミグループ本社代表取締役社長CEOに就任しました。2005年には駿河精機との経営統合を推進。2008年にはミスミグループ本社代表取締役会長CEO、2014年には取締役会議長、2018年4月にはシニアチェアマンに就任しました。

三枝氏のリーダーシップの下、ミスミは商社から開発・製造までを手掛ける企業へと事業を拡大。売上高は6倍以上、営業利益は4.8倍以上に成長し、従業員340人の商社からグローバル1万人規模の国際企業へと変貌を遂げました。これらの功績から、2018年にミスミグループ本社シニアチェアマン、第2期創業者の称号を受け、2021年にはミスミグループ本社名誉会長・第2期創業者に就任しました。

教育者としての活動

1992年からは一橋大学商学部非常勤講師として教鞭を執り、「特別講義（国際経営戦略論）」を担当。2001年からは一橋大学大学院商学研究科で「戦略的経営者論」を担当し、2005年からは同大学院の客員教授を務めました。教育者としても後進の育成に力を注いでいます。また、2015年には一橋大学に5億円を寄付し、「三枝匡経営者育成基金」が設立されました。

その他の活動

2009年には内閣府参与に就任。経済や経営に関する知見を活かし、政策提言などを行っています。

著書

三枝氏は、経営に関する著書も多数執筆しています。主な著書には、以下のものがあります。

『戦略プロフェッショナル』（ダイヤモンド社、1991年）
『経営パワーの危機』（日本経済新聞社、1994年）
『V字回復の経営』（日本経済新聞社、2001年）
『「日本の経営」を創る』（伊丹敬之と共著、日本経済新聞出版社、2008年）
『ザ・会社改造』（日本経済新聞社、2016年）

これらの著書は、経営戦略や事業再生に関する実践的な知識を提供し、多くのビジネスパーソンに影響を与えています。

訳書

『「鈍」な会社を「俊敏」企業に蘇らせる!』（モシェ・F.ルビンシュタイン、イーリス・R.ファーステンバーグ著、日本経済新聞社、2000年）

三枝匡氏は、実業家、事業再生専門家、教育者として、日本の経済界に多大な貢献をしている人物です。

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