三歩突き捨て急戦

三歩突き捨て急戦

三歩突き捨て急戦は、先手三間飛車に対して居飛車が急戦を仕掛ける戦法の一つです。加藤一二三氏によって創案されたとされています。この戦法の核心は、後手が7筋、8筋、9筋の歩を突き捨てて攻める一方で、先手が巧妙な受けと反撃によって優勢を奪う点にあります。

戦法の概要

この急戦の主要な狙いは、後手が△9四歩と歩を突いた際に、先手が▲9六歩と受けた場合の変化にあります。この局面から、後手が△5三銀左と進めると、先手は▲4七金と対応します。この▲4七金は、後手の4五歩早仕掛けを考慮した上で、▲3六歩よりも有利な選択となります。

その後、後手は△8六歩と進み、先手が同歩を取ると、△9五歩、▲同歩、△7五歩、▲同歩と、3つの歩を突き捨てていきます。先手が全て同歩で取ると、後手は△9五香、▲同香、△7六歩、▲9九角、△8六飛と駒を捌いて優勢を築きます。

しかし、先手は△7五歩の瞬間に▲6七銀と変化することで、後手の攻めを牽制します。後手が△6七銀とすれば、△7六歩と進んでも▲同銀と受けられて、攻めを仕掛けにくくなります。そこで後手は△6五歩と6筋にも手を伸ばしますが、先手は▲7五歩、△6六歩、▲7六銀と対応し、歩損を負った後手は△6七歩成と攻めを継続せざるを得ません。

この局面で、先手は▲2二角成と玉形を乱し、△同玉、▲6七銀と進みます。後手は△6六歩とすると、▲7七角の切り返しに遭うため、3三または4四に角を据えて攻めを続ける必要があります。

歩の突き捨て順序

7筋、8筋、9筋の歩をどの順番で突き捨てるかは、後手の選択に委ねられています。7筋→9筋→8筋の順で突き捨てれば、7筋と9筋の歩は▲同歩で、8筋の歩は▲同角で取られます。この場合、後手は△6六角、▲7七銀、△2二角、▲9六香と進行します。一方、7筋→8筋→9筋の順に突き捨てた場合、7筋と8筋は▲同歩で取られ、△9五歩には▲6七銀と対応します。

△9五歩型

先手は9筋の歩を受けずに、自玉の側に手を掛ける選択肢もあります。具体的には、▲4七金や▲3六歩と指すことで、自玉の安全性を高めます。そのため、△5三銀左と▲4七金の交換を省き、△9五歩と突き進んで▲3六歩を間に合わさない△4二銀型から仕掛けるという考え方もあります。

まとめ

三歩突き捨て急戦は、後手の積極的な攻めと、先手の巧みな受けと反撃が織りなす、非常に複雑で奥深い戦法です。歩の突き捨て順序や、△9五歩型など、様々な変化があり、将棋の奥深さを知る上で、非常に興味深い戦法と言えるでしょう。 それぞれの局面での最適な指し手を選択し、戦局を有利に進めるためには、深い理解と熟練が必要になります。

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