4五歩早仕掛け

4五歩早仕掛け：居飛車急戦の決定打

4五歩早仕掛けは、居飛車対振り飛車における積極的な急戦戦法です。特に居飛車穴熊や舟囲い急戦で用いられ、四間飛車、三間飛車、中飛車といった振り飛車に対して効果を発揮します。

戦法の狙い

振り飛車は、角を使って居飛車の飛車の進出を阻むことが多いです。4五歩早仕掛けは、▲4六歩から▲4五歩と角交換を挑み、振り飛車の角を排除することで飛車の進出経路を開くことを目指します。その後、飛車を成り、強力な攻めを展開するのが主な狙いです。

四間飛車対策

四間飛車相手には、後手が△4三銀と上がっている局面で特に有効です。後手が△3二金と構える場合もあり、その場合は先手は▲5五歩と位取りを目指す展開となります。後手が△5四歩と歩を伸ばしてきた場合は、▲4五歩と仕掛けます。△4五同歩とすれば、▲3三角成△同桂▲2四歩と飛車を突破し、先手有利となります。しかし、後手は△6四歩▲3七桂△7四歩（または△6三金）と構え、▲2四歩の仕掛けに備えるのが定跡です。

△2四同歩とすれば、▲4四歩△同銀▲4五歩△同銀▲同桂△同飛▲3三角成△同桂▲2四飛と進んで先手有利となります。後手は△7四歩と△6三金の両方を指さなければ、先手の攻めに苦戦することになります。△5四歩型では、▲4四歩△同銀▲4五歩に△5三銀と対応することもあります。

△2四同角に対しては、▲4四歩△同銀▲4五歩△3三銀と持久戦に持ち込むのも有効ですが、居飛車側が手を作りにくい展開となります。他にも、▲2二歩と金を活用する手順もありますが、振り飛車の反撃が速いため、▲4四歩△同銀には▲4三歩△同飛▲2四飛△同歩▲3二角と攻めるのが明確です。

かつては△4二飛▲2一角成△4一飛打▲3三桂△5一飛で後手受け切りが定説でしたが、郷田真隆の新手によって先手の攻めが有効となる変化が発見され、△5四銀と玉頭銀を見せるのが有力となっています。

三間飛車対策

三間飛車は飛車を3筋に回すため、棒銀や斜め棒銀に強く、4五歩早仕掛けは有効とされています。特に△4三銀型や△5三銀型三間飛車に対しては、4五歩の際に飛車を4筋に回す展開になり、四間飛車より有利な展開になりやすいです。

5七銀型では、△4二銀型三間飛車の場合、▲3七桂に△2二飛とすれば、基本的な展開となります。△2二飛に変えて△7二銀とする場合、先手の仕掛けに△同歩と取らずに△3五歩とし、先手の応手によって様々な展開が生まれます。

基本図では、後手は4二銀型を維持するのが重要で、△4三銀と立つと4筋からの仕掛けに対して脆くなります。▲5五歩△同歩▲4五歩と仕掛ける順も知られています。松浦卓造が編み出したとされる△5三銀▲4六銀と進める順は、後手に△5四銀と△5六歩の2つの選択肢を与えます。

△5四銀ならば銀交換になり、△5六歩ならば先手が歩を取りにいく展開となります。渡辺明は△5六歩は軽すぎるとして、△5四銀を推奨する中田功の意見を支持しています。

7七角-6八銀型は、先手が7七角-6八銀型で構えて仕掛ける指し方です。角成に同銀と取れる点が利点です。

中飛車対策

ツノ銀中飛車では、△3二金と上がっていない場合に▲4五歩が有効です。△5四歩型の場合は、▲4五歩に△同歩は▲3三角成△同桂▲2四歩△4六角▲2三歩成△2八角成▲3三とと進んで先手有利となります。そのため、中飛車側は▲4五歩に△5五歩と対応します。

△5四歩保留型の「英ちゃん流中飛車」では、▲4五歩△同歩▲3三角成△同桂▲2四歩△4六角に▲2三歩成は△2八角成▲3三とと進んで△5四銀の余地を残しています。

超急戦

美濃囲いが完成する前に仕掛ける超急戦も存在します。加部康晴が愛用する「加部流」は、後手玉が△7二まで行かないうちに▲4五歩と仕掛け、△同歩と取れば、▲3三角成△同銀▲6五角を狙う急戦です。

まとめ

4五歩早仕掛けは、変化に富み、高度な読みと計算が要求される戦法です。現代将棋においても研究が進んでおり、プロ棋士も積極的に活用しています。様々な局面や相手に応じて柔軟に対応できる能力が求められる、奥深い戦法と言えるでしょう。

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