三沙市

三沙市について

三沙市は、中華人民共和国海南省の南東部に位置する地級市であり、南シナ海に点在する西沙諸島、中沙諸島、南沙諸島を管轄しています。これらの島々は、東南アジア諸国との間で領有権問題が複雑に絡み合っており、特に南沙諸島は、中華民国（台湾）、ベトナム、フィリピン、マレーシアなどが実効支配する島々も含まれています。三沙市の行政区域は広大ですが、そのほとんどは海域で、住民はウッディー島（永興島）に集中しています。

歴史

三沙市の前身は、1959年に海南特別行政区の下に設置された西沙諸島・中沙諸島・南沙諸島弁事処です。1988年に海南省が設置されると、その管轄下に移りました。2007年には、県級市としての三沙市設置構想が表面化し、物流拠点として文昌市清瀾港の整備も計画されました。この動きは、ベトナムからの抗議を招きましたが、中国政府は正式発表をせず、2012年7月17日に国務院が正式に三沙市成立を発表しました。この成立は、Googleマップ上でスカボロー礁を三沙市の一部と表示したことがフィリピンからの抗議を受け、表示が削除されるという出来事も引き起こしました。

気候と行政区画

三沙市は熱帯モンスーン気候に属しています。行政区画としては、西沙諸島を管轄する西沙区と、中沙諸島、南沙諸島を管轄する南沙区の二つがあります。西沙区は永興居民委員会、中沙諸島は中沙島礁居民委員会、南沙諸島は永暑礁居民委員会がそれぞれ管轄しており、中国が実効支配している島礁はごく一部に過ぎません。

経済と人口

三沙市は水産資源や石油、天然ガスなどのエネルギー資源が豊富ですが、領有権問題のために開発は進んでいません。また、漁場としても重要で、各国の漁船が活動しています。2010年の住民登録は444人と極めて少数です。

交通と観光

三沙市には、軍用空港である永興島空港があり、ボーイング737やエアバスA320などの離着陸が可能です。また、永興島には港湾施設も整備されています。観光は、1997年に西沙諸島への旅行が許可されるようになりました。島内には、西沙諸島回収記念碑や南シナ海諸島記念碑、海洋博物館、日本軍砲台跡など、歴史的な観光スポットも存在します。

南シナ海諸島領有権を巡る紛争

三沙市の設立は、南シナ海の領有権問題を巡る紛争を激化させました。特にベトナムは、三沙市の成立はベトナムの主権を侵害するものであると強く抗議しています。関係諸国は、国連海洋法条約や南シナ海に関する行動宣言に基づき、平和的な解決を模索していますが、領有権を巡る対立は依然として続いています。2012年には、ベトナムが南シナ海の島々の領有権を定める海洋法を可決し、中国が強く反発するなど、緊張が高まっています。

脚注

関連する海南省西沙諸島・中沙諸島・南沙諸島弁事処、西沙諸島、中沙諸島、南沙諸島、ジェームズ礁などの項目も参照してください。

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