三河稲垣氏

稲垣氏の歴史

稲垣氏は、日本の武家・華族として長い歴史を持つ氏族です。彼らの遠祖は、清和源氏の支流である小田重氏とされ、稲垣の名字を名乗ったと言われています。一部の研究者は、稲垣氏が桓武平氏にあたるという説も提唱しています。

封建時代

稲垣氏の歴史は、文明年間（1469年 - 1486年）に伊勢から三河国の宝飯郡牛窪に移ったことから始まります。ここで、稲垣藤助重賢が国人領主牧野氏に仕官しました。彼は、最初は駿河・遠江の戦国大名今川氏に味方し、松平清康軍との戦いに参加しました。 重賢の戦死に関する記録が残っていますが、実際にどのように戦ったかについての詳細は記されていません。

その後、長茂の代にあたる永禄8年（1565年）には、徳川家康に服属します。長茂は家康が関東に移封された後の天正18年（1590年）に、下野国の足利と上野国の山田、勢田の三郡で3000石を与えられました。さらに、慶長6年（1601年）には、上野伊勢崎藩主として1万石に封じられ、その後も転封が繰り返されました。元和6年（1620年）には三条藩に転封され、宝永元年（1710年）までには3万石に加増され、享保10年（1725年）に志摩鳥羽藩に移されました。この時期に、稲垣氏は藩主として位置を確立させ、廃藩置県までその地位を維持しました。

一方、長茂の三男重大の系統も重要です。貞享2年（1685年）に1万3043石の加増を受けて大名に列し、元禄11年（1698年）には近江山上藩に封じられました。この系統も廃藩置県までその地位を保持しました。

明治以降

明治時代に入ると、稲垣氏は新たな時代の変化に直面します。最後の鳥羽藩主長敬と山上藩主太清は、明治2年（1869年）の版籍奉還を通じて知藩事に任命され、明治4年（1871年）までその職務を果たしました。この時期に華族制度が導入され、両家の当主は華族に列せられました。

華族令の施行により、明治17年（1884年）には長敬が子爵に叙せられました。山上藩主家の叙爵は遅れましたが、明治19年（1886年）に稲垣太祥が子爵の地位を得ました。太祥は貴族院の子爵議員として活躍し、さらに宮内省華族局においても任務を果たしました。

居館

稲垣氏の居館は、長昌の代に東京市渋谷区神山町に位置し、重厚の代では東京市小石川区臺町にありました。これらの邸宅は、稲垣氏の長い伝統と歴史を物語っています。

系譜

稲垣氏の系譜は複雑であり、さまざまな血筋が存在しました。特に鳥羽藩主家と山上藩主家には、それぞれ独自の系譜があり、実子、養子、婚姻関係が絡み合っています。双方の系譜は、稲垣氏の歴史を理解する上で重要な要素です。

このように、稲垣氏は多様な歴史を持つ日本の重要な武家・華族であり、その系譜は日本の封建時代から近代にかけての歴史を反映しています。

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