三瓶小豆原埋没林

三瓶小豆原埋没林

三瓶小豆原埋没林（さんべあずきはらまいぼつりん）は、島根県大田市三瓶町に位置する、日本の縄文時代に形成された埋没森林です。この埋没林は三瓶火山の活動により地下に埋積されたもので、自然の驚異を体現している場所として知られています。また、この地域は「さんべ縄文の森ミュージアム（三瓶小豆原埋没林公園）」という施設を通じて、来訪者にその魅力を伝えています。さらに、三瓶小豆原埋没林は国の天然記念物に指定されており、日本遺産「石見の火山が伝える悠久の歴史」にも含まれています。

埋没林の特徴

この埋没林では、スギを中心とする巨木が直立したままの状態で地下で発見されており、その最大直径は2.5m、高さは10mを超えるものもあります。このような規模の埋没林は、世界的にも非常に稀な存在です。直立する幹の根元には流木も多く確認されており、その数は100本以上にのぼります。現在、埋没木の本数は約30本が識別され、その樹種構成はスギが約80%を占め、他にはトチノキ、ケヤキ、カシの仲間、ムクロジなどの広葉樹も見られます。

地理的な意義

三瓶小豆原埋没林は現在、標高約200mの場所にあります。興味深いことに、現在の中国山地においてはこの標高でスギの自然林が存在しないため、この地域の植生は学術的に非常に重要です。

発見の歴史

この埋没林の重要性を再認識させるきっかけとなったのは、1983年に行われた農地の整備で、そこで直立した埋没木が2本見つかったことです。地元の火山学者である松井整司は、これらの発見を学術的に評価し、独自に調査を開始しました。彼の исследования により、地下には広範な森林が埋もれている可能性が高いことが示されました。これを受けて1998年に島根県による発掘調査が行われ、多くの埋没木が確認されることになりました。

天然記念物に指定

2004年の2月27日には、三瓶小豆原埋没林は国の天然記念物に指定され、その価値が公式に認められました。これにより、より多くの人々がこの貴重な自然遺産を訪れ、知識を深める機会が増えています。

火山活動の影響

この埋没林が形成されたのは、約4000年前、つまり放射性炭素年代で3500〜3700年前のことです。この時期に発生した三瓶火山の活動が、山体崩壊を引き起こし、流れ下った土石流によって立木が深く埋没しました。こうした火山活動は三瓶火山の特異性を示す重要な要素といえるでしょう。

三瓶小豆原埋没林は、自然と歴史が交錯する特異な場所であり、訪れる人々に多くの学びを提供しています。また日本の地質百選にも選ばれていることから、その地質学的な価値も高く評価されています。

もう一度検索