三田村光土里

三田村光土里：記憶を織りなす美術家

1964年愛知県生まれの三田村光土里氏は、写真、映像、言葉、そして日用品など、多様な素材を駆使して作品を創作する現代美術家です。日常の記憶をインスピレーションの源泉とし、それらを巧みに組み合わせることで、「人が足を踏み入れられる三次元のドラマ」と称される、没入感のあるインスタレーション作品を展開しています。

活動：国内外での精力的な創作活動

三田村氏の芸術活動は、1994年の東京での初個展「A Cross July」に始まり、国内外で数多くの展覧会を開催してきました。2005年には文化庁新進芸術家派遣研修員としてフィンランドに滞在、3都市を巡回する個展を開催するなど、国際的な舞台でも活躍の場を広げています。

特に注目すべきは、2006年にストックホルムでスタートした滞在型アートプロジェクト「Art & Breakfast」です。ウィーン分離派館Secessionでの個展（日本人としては荒木経惟氏以来の快挙）を皮切りに、スウェーデン、スペイン、ドイツ、イギリス、アメリカ、グルジア、韓国など、世界各地で継続的に開催され、多様な文化に触れながら創作活動を続けています。2019年にはウィーンで「Art & Breakfast Japan Unlimited」を開催するなど、その活動はますますグローバルに広がりを見せています。

池田みどり：写真家とのコラボレーション

写真家の池田晶紀氏とのユニット「池田みどり」では、互いの作品に潜む記憶を新たな視覚表現へと昇華させています。写真という媒体を通して、潜在的な記憶から生まれたドラマチックな風景を創り出し、個々の表現を超えた新たな世界観を提示しています。

経歴と主な展覧会

三田村氏は南山短期大学、名古屋ファッション専門学校を経て、現代写真研究所基礎科を修了しています。その経歴からも、多様な表現への関心の高さが伺えます。

主な個展としては、2023年の「MEGI Fab」や「奏でる家にて、昨日が手を振る」、2022年の「この場所に時計を取り戻す」など、近年の作品発表も盛んに行っています。また、2018年のスペインでの個展「If not here, then I'm somewhere else. ここにいなければどこかにいる」や、ドイツ、イギリスなど海外での個展も多数開催、高い評価を得ています。

グループ展への参加も積極的に行なっており、「瀬戸内国際芸術祭2022」への参加や、国内外の美術館、ギャラリーでの多数の展覧会参加実績があります。

まとめ

三田村光土里氏は、日常の記憶という普遍的なテーマを、多様な表現方法と国際的な活動を通して独自の芸術世界を構築し続けている美術家です。「Art & Breakfast」のような独自のプロジェクトを通して、世界各地の人々と交流し、新たな創造を生み出している点は特筆に値します。その活動は、現代美術の多様性と可能性を示す、重要な事例と言えるでしょう。今後の活動にも、大きな期待がかかります。

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