三田華子

三田華子（みた はなこ）

三田華子は、明治33年（1900年）5月15日に徳島県徳島市に生まれ、昭和58年（1983年）10月13日に83歳で没した小説家です。本名は三ツ田ハナ子。彼女の作品は、徳島の民話や伝説に根ざしたものが多く、その豊かな郷土色で読者を魅了しました。

生涯

1900年、徳島市古物町（現在の南新町）で生を受けた三田華子は、1916年に三ツ田富蔵と結婚しました。1932年には、新聞社が募集した民謡で『阿波小唄』が一等入選を果たし、その才能を垣間見せます。

1935年、一家で上京。1939年には日本大学文学部芸術科に入学し、本格的に文学の道を歩み始めます。在学中には、『二つの公休日』が文芸推薦候補、『石切場』が芥川賞候補、『祖父』が文芸推薦賞となるなど、数々の作品が高く評価されました。

1943年に夫・富蔵と死別。戦況の悪化により、1944年に徳島へ疎開します。戦後、1948年には日本大学芸術学部から創作科の講師として招聘され、再び上京。後進の指導にもあたりました。

1983年10月13日、83歳で生涯を閉じました。

作品の特徴と評価

三田華子の作品は、阿波の風土や文化、人々の暮らしを色濃く反映している点が特徴です。特に、徳島に伝わる狸の物語をまとめた『阿波狸列伝』は、彼女の代表作として知られています。ユーモラスな語り口で、狸たちの活躍を描き出し、郷土の魅力を伝えています。

また、『徳島昔ばなし』では、徳島に伝わる様々な民話を再話。子供から大人まで楽しめる作品として、長く読み継がれています。

これらの功績が認められ、1977年には第3回徳島県文化賞を受賞。徳島の文学界に大きな足跡を残しました。

主な作品リスト

『阿波狸列伝』 第1巻、小山助学館、1959年5月
『阿波狸列伝』 第2巻、小山助学館、1979年4月
『阿波狸列伝』 第3巻、小山助学館、1979年7月
『徳島昔ばなし』昭和書房、1968年10月
扶川茂 編『徳島』ぎょうせい〈ふるさと文学館 第42巻〉、1995年1月。「阿波歳時記」「維新のあとさき」「庚申新八」を収録

受賞歴

第4回文藝推薦作品（1941年）「祖父」
* 第3回徳島県文化賞（1977年）

三田華子は、徳島の風土と人情を愛し、それを作品に昇華させた作家でした。彼女の作品は、今もなお、徳島の文化を語る上で欠かせない存在として、多くの人々に愛されています。

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