三篠橋

三篠橋：広島の歴史と再生を映す橋

広島県広島市を流れる旧太田川に架かる三篠橋は、城北通り（広島県道84号東海田広島線）を繋ぐ重要な道路橋です。左岸は桜並木が美しい景勝地として知られています。橋の下にはアンダーパスが整備されており、歩行者は安全に川を渡ることができます。

西側にはJR横川駅と広島電鉄横川線が乗り入れ、活気あふれる横川商店街が広がります。東側は広島城の北側に位置し、広島市立基町高等学校などの教育機関も近接しています。最寄りの駅は広島新交通1号線（アストラムライン）の城北駅です。上流にはJR山陽新幹線と山陽本線の鉄橋が、下流には天満川との分流点があります。

三篠の由来と歴史

橋の名前の由来は、太田川の別名である「御篠川」に遡ります。かつてこの地域は「三篠町」と呼ばれ、太田川も天満川分流点までは「三篠川」と呼ばれていました。東詰は広島城外堀の北西端にあたり、江戸時代には防犯上の理由から橋が架けられませんでした。

明治時代に入ると、広島城に第五師団司令部が置かれ、1897年の横川駅開業を機に、両者を結ぶ橋の建設が決定。1912年春、初代の三篠橋が木[[橋]]として架けられました。絵葉書に残るその姿は、当時の面影を今に伝えています。しかし、1919年と1923年の洪水で被害を受け、1932年には鉄筋コンクリート桁橋に架け替えられました。当初は鉄製の高欄でしたが、太平洋戦争中の金属類回収令により石製高欄に交換されました。

1945年8月6日、広島への原爆投下（爆心地より約1.47km）。三篠橋も被爆し、高欄は爆風で倒壊、橋本体も大きな被害を受けました。しかし、奇跡的に通行可能な状態を保ち、広島城周辺の兵士や看護師の避難や救護に重要な役割を果たしました。多くの被爆関連資料が、その様子を記録しています。同年9月の枕崎台風と10月の阿久根台風による水害では、橋脚が流される被害を受けました。

戦後も補修を重ねて使われ続けましたが、城北通りの整備計画に伴い、常盤橋と共に架け替えられました。下流側の橋が1972年、上流側の橋が1978年に完成しました。2013年にはコンクリート片の落下が発見され、老朽化が懸念されています。

三篠橋：地域と歴史を繋ぐ存在

三篠橋は、単なる交通インフラを超えた存在です。明治時代から現代まで、広島の歴史的変遷を目の当たりにしてきました。戦争や災害といった困難を乗り越え、人々の生活を支え続けてきた証です。その歴史と、現在抱える課題は、都市開発と歴史保存のバランスを問いかける、重要なテーマとなっています。これからも三篠橋が、広島の街と人々の記憶を繋ぐ存在であり続けることを願っています。

もう一度検索