三菱・380

三菱・380の概要

三菱・380は、2005年から2008年の間にオーストラリアのミツビシ・モーターズにより製造された中型乗用車です。この車両は、1985年に導入されたマグナおよび1991年に導入されたヴェラーダの後継であり、主に北米で設計された9代目ギャランを基にしています。380の開発には、オーストラリア市場向けに600万オーストラリアドルの投資が行われ、前輪駆動のセダンとして、多様な競合他社との競争に挑みました。

開発の歴史

380の開発は、2002年に三菱自動車の経営陣がMMALに対して近似モデルの作業を承認したことから始まりました。最初は9代目ギャランの右ハンドル仕様として設計され、その代替車として期待されていました。2番目のモデルとしてロングホイールベース版が計画されましたが、ダイムラー・クライスラーの提携解消により開発が中止されるなどの波乱もありました。2004年には、三菱自動車の生産中止を信じるオーストラリア人が84%に達する中、ブランドの信頼回復を図るテレビCMが放映されました。これが市場での期待を再燃させる要因となりました。

デザインとエンジニアリング

三菱は、380を北米のギャランとは異なるスタイリングにすることを常に意図していました。しかし、ギャランと似た骨格のためデザイン変更が難航しました。クロベリー・パーク工場の刷新により強化されたボディ構造と新しいデザイン要素が加わり、特徴的な前部フェンダーやボンネット、ヘッドライトが生まれました。

380のエンジニアリングにもこだわりがありました。オーストラリアの道路や顧客の嗜好を考慮し、70%の変更が加えられました。特にボディ剛性を高めることで運動性能の向上が図られ、改良されたサスペンションと新しいショックアブソーバーが採用されました。エンジンは全く新しい3.8リットルV型6気筒、6G75型が搭載され、スムーズな加速性能が誇られました。

モデルバリエーション

380シリーズIIIには、ES、SX、VRX、GTという4つのモデルがあり、各モデルには異なる仕様の装備が搭載されていました。例えば、ESモデルはトラクションコントロールや前方・側面エアバッグを標準装備し、SXモデルは革巻きハンドルや多機能のCDプレイヤーが追加されました。最上級のGTモデルはより豪華な内装やアルミホイール、一体型のスポイラーを備え、性能面でも高い評価を受けていました。

販売と評判

380は2005年10月に発売されましたが、初期の販売は期待に応えられず、2006年には生産体制の見直しが行われました。シリーズIIでは値下げが実施され、さらなる販売促進を目指しました。モデルの改定を伴うシリーズIIIの発売は購買意欲を喚起しましたが、販売好調の報せは続かなかったです。380はオーストラリア市場で複数の賞を受賞し、特に安全性において高い評価を得ました。

終焉とその後

しかし、2008年には380の生産が終了することが発表され、最後の車両が製造されました。オーストラリア市場での成長が見込めない中、三菱は全車種輸入戦略に転換する決断を下しました。380は、歴史的に三菱のオーストラリア工場の象徴として位置付けられ、多くのファンから惜しまれました。

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