三菱・3G8型エンジン

三菱・3G8型エンジンの概要

三菱自動車工業が1986年から2013年にかけて生産した3G8型エンジンは、同社の軽自動車向けガソリンエンジンとして広く活用されました。このエンジンシリーズは、元々同社のサイクロンエンジンシリーズの派生として始まりました。

経緯と適用

1987年1月、5代目ミニカのマイナーチェンジを契機に、従来のG23B型エンジンの後継として3G8型が採用されました。これにより、さまざまな三菱製の軽自動車に搭載されることとなりました。また、1990年の軽自動車規格改定の際には、550ccの3G81型と660ccの3G83型がラインアップに追加され、前者は後者の排気量を拡張したものとしてほぼ共通の基本構造を持っています。この中で、特に3G83型は軽自動車用の3気筒エンジンとしては珍しく、バランサーシャフトを採用していました。

2006年には、i（アイ）モデルに搭載される3B20型が事実上の後継エンジンとして登場しましたが、このモデルは主にiの専用設計に基づいています。そのため、3G83型は軽自動車の市場において引き続き使われ続けました。2013年には、新世代の3B20型がeKシリーズや日産・デイズに搭載されることとなり、接続して製造されていた3G83型はその役目を終えました。

生産とリコールの問題

2013年12月時点では、3G83型はミニキャブやそのOEMモデル日産・クリッパーに搭載されていましたが、その翌月三菱自動車が軽商用車市場から撤退を表明したことで、3G83型の製造も終了しました。さらに、2021年には補修用部品の製造も終了し、エンジンの生産は完全に終了しました。過去には、3G82型に関連するオイル漏れのリコール問題があり、これはオイルシールの不具合に対する対応として4回のリコールが実施されました。国土交通省からの立入検査を受け、企業の不備が指摘されることにもなりました。

機構と技術的特長

3G8型エンジンは水冷の直列3気筒エンジンで、初期モデルは機械式キャブレターを採用していましたが、その後のモデルでは改良が進められ、すべてECI方式のSOHC12バルブに統一されました。1998年に新基準に適合する軽自動車が発表されて以降、すべてのモデルがこの新しい仕様に適合しました。シリンダーブロックは鋳鉄製で、可変バルブ機構は採用されていないものの、その信頼性は高く評価されています。

550ccの3G81型には、DOHC5バルブ仕様が搭載され、ここでターボとの組み合わせにより市場で初めて自主規制値の64馬力を達成しました。この技術は後に3G83型、4気筒エンジン4A30型にも受け継がれました。

エンジン仕様

3G8型エンジンには多様な仕様があり、それぞれに異なる特性があります。例えば、3G81型は1987年から1990年まで製造されており、548ccの排気量を持ちます。出力はモデルによって異なりますが、最大30PSから最大32PSまでの選択肢があります。

一方、3G83型は1990年から1998年まで製造され、657ccの排気量を持ち、出力は40PSから最大64PSに達する仕様がありました。これらの違いは、軽自動車の選択肢を広げ、消費者のニーズに応えるものでした。さらに3G82型は主に国外輸出用に設計されており、無駄のない設計が特長です。

結論

3G8型エンジンは、三菱自動車の技術力を示す重要なエンジンシリーズであり、軽自動車市場に大きな影響を与えました。搭載された車両の数々は、時代のニーズに応え続け、エンジン技術の発展に寄与しましたが、同時に各種問題も抱えていました。現在では、新しい世代のエンジンに置き換わりつつありますが、その意義は今後も語り継がれることでしょう。

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