三菱・4G1型エンジン

三菱・4G1型エンジン

三菱自動車が1977年から製造を開始した4G1型エンジン（通称：オリオンエンジン）は、1.2Lから1.6Lの排気量を持つ直列4気筒のガソリンエンジンです。このエンジンは、三菱自動車だけでなく、中国のハルビン東安汽車発動機でも製造されています。4G1型は、既存のネプチューンエンジン（4G4型）の後継に当たり、バルブ機構としてはSOHC（シングルオーバーヘッドカムシャフト）およびDOHC（ダブルオーバーヘッドカムシャフト）の選択が可能です。さらに、特定のモデルにはオリオンIIという名称が使われることもあります。

エンジンの特徴

4G1型エンジンは、初めてゴム製タイミングベルトをカムシャフトの駆動に使用した小型で軽量な設計が特徴で、鋳造鉄製の構造によって優れた信頼性と耐久性を備えています。2025年までに45年以上の製造歴を持ち、現在もハルビン東安汽車発動機ではアップデートされた4G15V型のエンジンが生産されています。この型式は、中華汽車のベリカA190トラック用として使用されています。

特記すべきは、このエンジンが初期の自動車排出ガス規制に対応するために導入されたMCA-JETという排ガス対策システムです。その中でも特に目を引くのは、「ジェットバルブ」という小型の二次吸気バルブです。これらのバルブはロッカーアームによって駆動され、シリンダー内に強力なスワール流を生み出します。このスワール流は、混合気の着火性を高める役割を果たし、排出ガス規制をクリアする重要な要素となっています。

排出ガス規制への対応

昭和53年の排出ガス規制に適合したことにより、4G1型エンジンの技術は他の型式（4G3型や4G6型、4G5型、2G2型など）にも応用されました。この技術が功を奏し、社団法人自動車技術会によって、4G1型エンジンは日本の自動車技術240選に選ばれています。この選出は、純粋な性能だけでなく、環境への配慮を兼ね備えた技術であることが評価された結果です。

1982年には、同型エンジンに気筒休止機構も導入され、G12Bに搭載されました。これにより、エンジンが低負荷の時に1気筒目と4気筒目を休止し、2気筒のみで運転できるようになりました。これが「可変排気量（MD）エンジン」と称され、燃費向上につながる技術革新となりました。

各型式の詳細

4G1型エンジンにはさまざまな型式が存在し、それぞれに排気量やバルブ機構の違いがあります。以下は、代表的な型式の概要です。

• - G11B (4G11): 1977年から1984年製造、排気量は1.2L、バルブ機構はSOHCです。初搭載車種は初代ランサー。
• - G12B (4G12): 1977年から1987年製造、排気量は1.4L、バルブ機構はSOHC、初搭載車種は初代ランサー。
• - G12B (MDモデル): 気筒休止機構を搭載したモデルで、1982年から1983年製造されました。
• - G15B (4G15): 1983年から1989年製造、1.5Lの排気量で、初搭載車種はミラージュ2代目。

まとめ

4G1型エンジンは、技術革新と環境対応を両立させた重要な存在として、三菱自動車の発展に寄与してきました。今後も、このエンジンの系譜は続いていくことでしょう。

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