三菱・i

三菱・i（アイ）について

三菱自動車工業が2006年から2014年の間に販売した軽自動車「i」は、その独自のデザインと先進的な技術で注目を集めました。この車両は2003年のフランクフルトモーターショーで初公開されたコンセプトカーを基にしており、軽自動車市場に新たな価値を提供することを目指しました。

設計と開発の背景

三菱自動車の軽自動車での新モデル投入はeKワゴン以来4年以上も間が空いており、iの開発は特に注目されました。元々「premium small」をコンセプトとして掲げ、「居住性」「衝突安全性」「斬新なデザイン」を融合させることを目指していました。開発は2001年に始まり、複数回の中断を経て、2004年には新たな販路を確保し商品化に至りました。福井紀王がプロジェクトエンジニアとして関わったことも大きな要因とされています。

特徴的なデザインと機構

iの最大の特長は、5ドアボディながらリア・ミッドにエンジンを搭載している点です。このレイアウトにより、最適な重量配分が実現され、操縦安定性と走行性能が向上しています。ホイールベースは現行の軽自動車の中で最長となる2,550 mmを誇り、その結果、ステアリングも特に利きやすくなっています。さらに、全高は1.60 mであるため、機械式立体駐車場には駐車できないものの、独自のデザイン性で多くの支持を得ました。

エンジン性能

搭載されるエンジンは、三菱の新開発した直列3気筒DOHC12バルブエンジンで、自然吸気とターボの選択が可能です。ターボエンジンは低回転域からトルクを発生するように調整され、特に操縦安定性に寄与しています。また、このエンジンはダイムラーとの供給契約に基づき、後にモデルチェンジされたスマートにも搭載されています。さらに、駆動方式は二輪駆動モデルでは後輪駆動、四輪駆動モデルではビスカスカップリングを用いたシステムを採用し、運転の楽しさも重視されていました。

商業的結果と評価

発売当初から多くの特別仕様車も展開され、特に「i-Play Edition」や「Limited」などのグレードが人気を博しました。2006年の日本軽自動車初期品質調査では第1位を獲得し、その後も様々な評価を得ることができました。また、グッドデザイン大賞を受賞したことでも、その価値が認められています。

iは、軽自動車市場において「プレミアム」をテーマにした新たな選択肢を提供し、その存在感を示しました。しかし、2014年の販売終了後、i-MiEV等の派生型は存続しましたが、i自体はその役割を終えました。この車の設計や理念は、今後の軽自動車技術の発展に影響を与え続けることでしょう。

その他の情報

iという名前は、「私（I）」、「愛（Ai）」、「革新（Innovation）」、「想像（Imagination）」、「知性（Intelligence）」の頭文字に由来しており、特に「Vivace」（いきいきと、活発に）の名前も付けられました。特にイギリスでは300台の限定販売が行われ、その反響も良好でした。

このように、三菱・iは単なる軽自動車にとどまらず、革新や機能性、デザイン性を兼ね備えた製品として、今なお多くの自動車ファンに記憶されています。

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