三菱重工業長崎造船所

三菱重工業長崎造船所の概要

三菱重工業長崎造船所は、長崎県長崎市と諫早市にまたがる造船所で、正式には「三菱重工業株式会社長崎造船所」と呼ばれています。略称する際には「長船」とも言われており、長い歴史を持つこの造船所は、日本の造船業界の中でも特に重要な位置を占めています。

歴史的背景

1857年に設立された長崎造船所は、日本初の艦船修理工場としての役割を果たしてきました。最初は江戸幕府直営の「長崎鎔鉄所」として建設が始まり、明治時代に入るとその管理が政府から三菱商会に移行し、以降は民営の造船所として飛躍的に成長しました。特に、戦艦「武蔵」の建造はこの造船所の名を広めるきっかけとなりました。

戦後は財閥解体の影響を受け、経営体制は変化しましたが、幸いにして、同所は賠償撤去指定工場の影響を逃れ、存続することができました。困難な時期を経て、1950年代からは受注が戻り、好評を得た造船技術はオイルショックを挟んでさらなる発展を遂げました。現在も、民間船舶に加え海上自衛隊の護衛艦を多数建造しており、その技術と人材を支えにしています。

主な製品

長崎造船所では、さまざまな種類の船舶を建造しています。大型客船、タンカー、LPG船などが含まれ、また発電プラントや環境保全設備、海水淡水化プラントなど多岐にわたる製品の製造も手がけています。戦前や戦中には日本海軍向けの艦船が多く建造され、特に戦艦や巡洋艦などが知られています。

戦後には、民間向けの船舶が再び注目され、1990年代にはクルーズ客船の建造も行いました。最近では、LNG船や新型フェリーなど、新たな需要に応じた船の建造も行われています。特に、海上自衛隊の護衛艦では、後方甲板の傾斜設計が特徴であり、「オランダ坂」と呼ばれる名と共に、多くの艦が誕生しました。

世界遺産登録

長崎造船所は、その価値ある歴史から、世界遺産「明治日本の産業革命遺産」にも登録されています。登録資産には、古い修船場跡やジャイアント・カンチレバークレーン、旧木型場などが含まれ、これらは長崎の産業革命のシンボルとされています。これにより、より多くの訪問者にその歴史的な貢献を伝えています。

未来の展望

近年、海外の競争が激化する中、長崎造船所は生き残りをかけた新たな戦略を進めています。香焼工場では、新造船エリアを別の造船所に売却するなど、事業運営の効率化が図られています。しかし、修繕部門の確保を目指しており、今後は艦船修繕事業にも重きを置いていく計画です。

長崎では、新しいライフスタイルに対応した工場再編計画も検討されており、跡地活用が進められています。これにより、地域が活性化し、持続可能なまちづくりが促進されることが期待されています。未来の大きな展望に向け、長崎造船所はその役割を果たし続けることでしょう。

もう一度検索