三菱長崎造船所B形蒸気機関車

三菱長崎造船所B形蒸気機関車

三菱長崎造船所B形蒸気機関車（みつびしながさきぞうせんじょBがたじょうききかんしゃ）は、1916年から1917年にかけて、三菱が長崎造船所で使用する目的で導入したタンク式蒸気機関車です。この機関車は、当時の技術を反映した設計が施されており、アメリカのH.K.ポーター社から計12両が製造され、日本に輸入されました。

機関車の概要

この機関車は、軌間762mm（2フィート6インチ）の仕様で、車軸配置は0-4-0(B)とされています。運転整備重量は約10トンで、2気筒単式の飽和式サイドタンク機関車です。具体的には、1916年12月製の製造番号5869から5871の3両と、1917年1月製の5872から5880の9両がありました。これらは、製造時のカタログにおいてはB-SSクラスとして記載されています。

軍事機密として扱われていたことから、戦前にはその詳細に関する文献はほとんど存在せず、1945年の太平洋戦争の終結後にはすべて廃棄されたことが確認されています。戦後、鉄道ファンの江本広一が現地を訪れた際にはすでにその姿は消えていましたが、1935年には佐世保鉄道が一部の機関車のスクラップを譲り受け、一部を更新するなどして新たな機関車を製作しています。これにより、改造された機関車は国有化後にケ702形として新たな番号を与えられました。

佐世保鉄道での活躍

佐世保鉄道で改造された機関車は、主に皆瀬駅と相浦駅間での貨物列車牽引に使用されていました。1944年には旧佐世保鉄道線（松浦線）の全線改軌工事が完了し、これに伴って運行が新たな形で行われましたが、最終的には1948年にその運行を終え、廃車となりました。

主要諸元

佐世保鉄道の改造機関車の主要諸元は以下の通りです：

• - 全長：6,355 mm
• - 全高：2,806 mm
• - 軌間：762 mm
• - 車軸配置：0-4-2 (B1)
• - 動輪直径：684 mm
• - 弁装置：スチーブンソン式アメリカ形
• - シリンダー：235 mm × 356 mm
• - ボイラー圧力：12.0 kg/cm²
• - 火格子面積：0.68 m²
• - 全伝熱面積：25.8 m²
• - 運転整備重量：12.0 t
• - 動輪上重量：10.5 t
• - 水タンク容量：1.60 m³
• - 燃料積載量：0.43 t

同系機

1919年に製造された同系機としては、朝鮮総督府鉄道に入った2両が存在します。これらの機関車は、長崎造船所のものと比べてサイドタンクの長さやオーバーハングに違いが見られました。長崎造船所の機関車と同じく、動輪直径は684 mmとなっています。これらの機関車は、ナキニ形11、12として運用されました。

結論

三菱長崎造船所B形蒸気機関車は、日本の蒸気機関車史において重要な位置を占める存在でしたが、戦争やその他の理由によって早々にその歴史を閉じることとなりました。そのため、実物をめぐる情報や記録は少なく、貴重な資料として語り継がれています。

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