三谷栄一

三谷栄一

三谷栄一（1911年7月8日 - 2007年8月29日）は、日本の著名な国文学者であり、中古文学、特に平安時代の物語文学研究において多大な功績を残しました。國學院大學から文学博士号を授与され、後進の育成にも尽力しました。日本文学者の三谷邦明は子息。

経歴

1935年に國學院大學国文科を卒業後、学問の道を歩み始めました。教職にも携わり、1944年には青森師範学校教授に就任。その後、1949年には弘前大学教授、1950年には山梨県立図書館長を経て、1953年からは実践女子大学教授として教壇に立ちました。

1961年には、「民族文学の成立に関する基盤的研究」により、國學院大學から文学博士号を取得。長年の研究活動が認められました。1987年に実践女子大学を定年退職し、名誉教授となりました。2003年には、その長年の功績が認められ、勲三等瑞宝章を受章しています。

研究内容

三谷栄一の研究は、平安時代の物語文学を中心としており、中でも『狭衣物語』に関する業績は特筆に値します。文献学的考察に基づいた精緻な研究は、多くの研究者に影響を与えました。

著書

三谷栄一は、数多くの著書を執筆し、日本文学研究の発展に貢献しました。主な著書としては以下のようなものがあります。

単著

竹取物語評解 (有精堂、1948年)
物語文学史論 (有精堂出版、1952年)
要解日本文学史辞典 (有精堂出版、1959年)
日本文学の民俗学的研究 (有精堂出版、1960年)
物語史の研究 (有精堂出版、1967年)
古典文学と民俗 (岩崎美術社、1968年)
日本神話の基盤 風土記の神々と神話文学 (塙書房、1974年)
物語文学の世界 (有精堂選書、1975年)
古事記成立の研究 後宮と神祇官の文学 (有精堂出版、1980年)
記紀万葉集の世界 (有精堂出版、1984年)
狭衣物語の研究 伝本系統論編 (笠間書院、2000年)
狭衣物語の研究 異本文学論編 (笠間書院、2002年)

共著・共編

日本文学作品人名辞典 (吉田精一、市古貞次共編、河出書房、1956年)
全解枕草子 (伴久美共著、有精堂出版、1958年)
土佐日記 (紀貫之、角川文庫、1960年)
九条家旧蔵本狭衣物語と研究 (未刊国文資料刊行会、1960-63年)
六万語古語辞典 (金子武雄共編、金園社、1964年)
徒然草解釈大成 (峯村文人共編、岩崎書店、1966年)
日本古典文学全集 落窪物語 (小学館、1972年)
源氏物語事典 (有精堂出版、1973年)
万葉集叢書別冊 万葉集叢書索引 (臨川書店、1973年)
徒然草事典 (有精堂出版、1977年)
狭衣物語抄 元和九年心也開板古活字本 (勉誠社、1980年)
日本文学史辞典 古典編 (山本健吉共編、角川書店、1982年)
要解古典文法 (稲村徳共著、有精堂出版、1993年)
よくわかる源氏物語 (稲村徳、有精堂出版、1993年)

これらの著書は、日本文学研究における重要な参考文献として、現在でも広く活用されています。

三谷栄一は、その長年の研究活動を通じて、日本文学、特に平安時代の物語文学研究に多大な貢献をしました。その学問的遺産は、後世の研究者によって受け継がれ、発展していくことでしょう。

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