三遊亭柳枝

三遊亭 柳枝の生涯

三遊亭 柳枝（さんゆうてい りゅうし）は、1903年12月に大阪で生まれた日本の漫才師、喜劇俳優、漫談家である。本名は山本 卯三郎で、長い芸歴を持つ彼の活動は、大正から昭和にかけての日本演芸界に大きな足跡を残している。

初期の活動と破門

柳枝は祖父が開いた商売が破綻したため、若い頃は瀬戸内海の汽船のボーイとして働いていたが、次第に落語に興味を持ち、15歳か16歳の頃に天狗連に入門。初めは、2代目三笑亭柳枝に師事し、三笑亭柳歌の名で活動を始めた。しかし、勝手に「三笑亭柳枝」と名乗って独演会を開いたことで破門され、その後しばらくの間は苦しい立場に置かれた。

師匠の好意で三遊亭圓子の門下に復帰し、改名して三笑亭青柳として活動を続ける。最終的には、元の師匠が柳枝への亭号を譲ったことから三遊亭柳枝となり、名を正式に名乗ることとなった。このように、柳枝は自らの名声を築くために多くの試練を乗り越えた。

漫才師としてのキャリア

漫才の世界に足を踏み入れた柳枝は、数多くの相方を持った。その中には、初めての妻である花柳一駒や文の家久月、不二乃道風、ミヤコ蝶々といった著名なコンビも含まれる。柳枝は20代になったころから全国各地を巡業し、長いキャリアを積んだ。1944年にはミヤコ蝶々と再婚し、彼女との複雑な関係もまた彼の人生を色付けている。新婚当初から他の女性とも関係を持ち、1947年に離婚。その後も相方の南喜代子との結婚生活が続いた。

戦中と戦後の活動

戦時中には疎開を余儀なくされ、戦後は「柳枝劇団」を旗揚げ。彼の劇団は、漫才や落語、漫談など多彩な演目を披露しながら、1956年に解散。また、その後「松竹爆笑劇」と改名し、現在の吉本新喜劇の基盤を築く重要な役割を果たした。

柳枝の十八番は「大菩薩峠」の机竜之助の居合抜きであり、観客を楽しませる演技力で多くのファンを魅了した。さらに、映画界でも喜劇役者として成功を収め、1961年には東映の「花かご道中」で美空ひばりや丘さとみと共演した。

弟子たちとその影響

柳枝は、多くの弟子を育てたことでも知られる。代表的な弟子には、ミヤコ蝶々や南喜代子がいる。特にミヤコ蝶々は、彼の劇団の最初の門下生であり、後に相方としても活動していた。さらに、弟子の中には後に吉本新喜劇の著名な要素となる者たちも多く、上方柳次、泉ひろし、やなぎ浩二などがその代表である。

まとめ

三遊亭柳枝は、その独自のスタイルと多彩な演技で日本の演芸の歴史に名を刻む重要な人物であった。彼の活動は、単なる漫才師を超えて、多くの後輩たちに影響を与え続けている。柳枝の人生は複雑な人間関係や数多の試練を伴ったものであり、その後の日本の喜劇文化に多大な貢献を果たした。

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