三重県立久居高等学校

三重県津市戸木町に校舎を構える三重県立久居高等学校は、公立の全日制高等学校です。1983年（昭和58年）に創立され、三重県下で初めて単位制が導入された高校として知られています。これは、生徒一人ひとりの興味や進路に合わせた多様な科目選択を可能にするシステムです。なお、同じくかつて「三重県立久居高等学校」という名称だった三重県立久居農林高等学校とは異なる学校です。

教育課程の特徴

本校では、全日制課程に普通科を設置しています。普通科では、1年次に基礎的な学習を行う「普通コース」と、難関大学への進学を目指し、より高度な学びに重点を置く「チャレンジコース」に分かれて学習します。普通コースの生徒は、2年次からさらに細分化されたモデルコースを選択することで、自分の将来の目標に合わせた専門的な学びを深めることができます。例えば、幼児教育や看護・医療分野に興味のある生徒のために、大学などの上級学校と連携した特色ある科目として「幼児コミュニケーション」や「看護医療探究」などが開設されており、実践的な学びの機会が提供されています。

また、本校の大きな特色の一つに「スポーツ科学コース」があります。このコースでは、単に特定のスポーツの技術向上を目指すだけでなく、スポーツ生理学、バイオメカニクス、トレーニング理論など、スポーツに関する科学的・理論的な知識も深く学びます。実技と理論の両面からアプローチすることで、競技力向上はもちろんのこと、スポーツ指導者やトレーナーなど、将来スポーツ関連分野で活躍できる人材育成を目指しています。

部活動と施設

久居高校では、運動部・文化部ともに活発な活動を展開しています。恵まれた教育環境として、レスリング場や体操場など、特定の競技に特化した充実した施設が整備されています。部活動の多様性も本校の特徴で、三重県内では珍しいとされるライフル射撃部、ゴルフ部、ボクシング部などが活動しており、これらのクラブの中には全国大会レベルで優秀な成績を収めているところもあります。

文化部も活発で、多岐にわたる分野で生徒が個性を伸ばしています。特に科学部は、テレビ大阪の科学番組「かがくdeムチャミタス！」に出演し、「声でグラスは割れるのか!?」という興味深い科学実験に挑戦するなど、メディアでも注目される活動を行いました。文化部全体としては、毎年3月に校外の施設を借り上げて「文化部合同発表会」を開催しており、日頃の練習や研究の成果を地域の方々や保護者に披露する大切な機会となっています。

国際交流活動

国際理解教育にも力を入れており、オーストラリアのギラウィーン高校と姉妹校提携を結んでいます。この提携に基づき、毎年夏休みなどを利用して短期の留学生交換プログラムを実施しており、生徒たちはホームステイなどを通じて異文化に触れ、国際感覚を養う貴重な経験をしています。本校の正門脇には、両校の友情の証として記念に植えられた桜があり、生徒や地域の人々から「ギラウィーン桜」として親しまれています。この桜は、国際交流のシンボルとして、両校の絆を今に伝えています。

交通アクセスと著名な卒業生

交通アクセスについては、最寄りの近鉄名古屋線久居駅から学校まで距離があるため、多くの生徒が自転車を利用して通学しています。また、三重交通バスの路線も利用可能で、校内に直接バスが乗り入れるため、公共交通機関による通学も便利です。

久居高校は、スポーツ分野を中心に多くの著名な卒業生を輩出しています。特に、アマチュアレスリング界において世界的な偉業を成し遂げた吉田沙保里さん、同じくレスリングで活躍する奥野春菜さん、そしてキックボクシングの分野で実力を示している宮本芽依さんが、本校の卒業生として知られています。彼女たちの活躍は、後輩たちにとって大きな目標となっています。

三重県立久居高等学校