三野和雄

三野 和雄（みの かずお）

1949年8月21日生まれの日本の経済学者。マクロ経済学を専門分野とし、京都大学名誉教授、同志社大学経済学部特別客員教授などの要職を歴任しました。日本の経済学教育と研究に長年にわたり多大な貢献をしています。

学歴と研究キャリアの始まり

三野氏の学問的キャリアは、1973年に関西学院大学経済学部を卒業したことから始まりました。その後、神戸大学大学院経済学研究科修士課程に進学し、1975年に経済学修士の学位を取得しました。さらに高度な研究を目指し、米国のブラウン大学大学院経済学研究科博士課程へ進み、1984年に「Growth, Stability, and Money Supply Policies」と題する博士論文を提出し、経済学博士（Ph.D.）の学位を取得しました。帰国後、1989年には神戸大学から「マクロ経済動学研究」により経済学博士号を授与されています。国内外での博士号取得は、その学問的深さと研究者としての国際的な視野を示すものです。

主要大学での教育・研究活動

研究者としての第一歩は、1977年に広島大学経済学部の助手として踏み出されました。その後、講師、助教授と昇進し、教育と研究に従事します。この間、1987年には米国のジョージア大学経済学部で客員准教授として海外での教育経験も積みました。1991年には東北大学経済学部の教授に就任し、教授としてのキャリアを本格化させます。続いて、1996年には神戸大学経済学部に、1998年には改組後の神戸大学大学院経済学研究科の教授に就任。神戸大学在籍中の1996年9月から1997年5月にかけては、ニューヨーク大学スターン・スクール・オブ・ビジネスにて客員研究員として国際的な共同研究や情報交換を行いました。2004年からは大阪大学大学院経済学研究科の教授として、関西における経済学研究・教育の拠点校で指導にあたりました。2009年には京都大学経済研究所の教授に着任。これに先立つ2008年9月からは客員教授としても同研究所で活動しています。また、2011年から2012年には立命館大学経済学部の客員教授も務めました。2015年に京都大学を定年退官し、名誉教授の称号を授与されましたが、その後も2015年から2016年にかけて京都大学経済研究所の客員教授を務めるなど、研究活動を継続。同年からは同志社大学経済学部においても嘱託講師、客員教授を経て、現在は特別客員教授として後進の指導にあたっています。国内外の主要な研究機関や大学を渡り歩いたその職歴は、日本の経済学界における多岐にわたる貢献の証と言えます。

学会での貢献と主要な業績

三野氏は日本の経済学界の中心人物の一人として、学会活動にも積極的に参加しました。特に、日本の経済学分野で最も権威ある学会の一つである日本経済学会において、第47代会長という重責を担いました。これは、同氏が日本の経済学研究に与えた影響力の大きさを物語るものです。

研究業績としては、専門であるマクロ経済学を中心に多数の著作を発表しています。有斐閣から出版された『マクロ経済学の基礎』や、培風館から出版された単著『マクロ経済学』は、日本の多くの学生や研究者にとって基礎となるテキストです。また、『ミクロ経済学の基礎』の共著や、海外の研究者との共著・共編著（例: Global Integration and Competition, Economic Theory, Dynamics and Marketsなど）もあり、国際的な研究活動にも熱心に取り組みました。

経済学教育への貢献：多数の翻訳

三野氏の貢献は自身の研究・著作に留まらず、海外の優れた経済学テキストの翻訳を通じて、日本の経済学教育の質向上にも大きく寄与しました。特に、佐藤隆三氏や濃野隆之氏らとの共訳による佐藤隆三著『技術変化と経済不変性の理論』は、先端的な経済学理論の紹介として重要です。また、H. ヴァリアン著の『ミクロ経済分析』や『入門ミクロ経済学』、W. ボウモル、A. ブラインダー著『マクロエコノミクス入門』といった、世界的に標準的な経済学の教科書を、佐藤隆三氏をはじめとする多くの研究者と共に翻訳しました。これらの翻訳書は、長年にわたり日本の大学におけるミクロ経済学、マクロ経済学の講義で広く使用され、日本の学生が世界の最新の経済学に触れる上で不可欠な役割を果たしています。

まとめ

三野和雄氏は、マクロ経済学の第一人者として、国内外での精力的な研究活動、主要大学での長年にわたる教育、そして学会運営への貢献を通じて、日本の経済学界の発展に尽力しました。自身の著作に加え、世界標準のテキストの翻訳を多数手がけたことは、日本の経済学教育基盤の強化に大きく貢献しています。現在も同志社大学などで後進の指導にあたっており、その影響は今なお広がり続けています。

（注：本記事は公開情報を基に記述されており、最新の情報と異なる場合があります。詳細については、三野和雄氏の公式情報源等をご参照ください。）

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