上がり馬

競馬用語「上がり馬」とは？

競馬の世界で「上がり馬」とは、下級クラスの競走から短期間で実力をつけ、格上のレースに勝ち上がっていく競走馬を指します。それまで目立たなかった馬が、ある時期を境に急激な成長を見せ、次々と勝利を収める様は、競馬ファンを魅了する大きな魅力の一つとなっています。

特に「夏の上がり馬」という言葉は、日本の競馬において頻繁に用いられます。これは、春のクラシックレース（皐月賞、日本ダービー、オークス）を回避した、もしくは好成績を残せなかった馬が、夏の期間に鍛錬を積んで力をつけて、秋のG1レース、特に菊花賞（3歳牡馬）や秋華賞（3歳牝馬）などで好成績を収めるケースを指します。

夏の期間は、長距離戦や暑さへの対応力など、競走馬にとって重要な要素を鍛える絶好の機会となります。そのため、春には目立たなかった馬が、夏を越えることで成長を遂げ、秋のG1レースで台風の目となるケースが多く見られるのです。

代表的な上がり馬たち

多くの「上がり馬」が、競馬史に名を残してきました。以下は、その中でも特に有名な馬たちです。

アカネテンリュウ (1969年菊花賞馬): 春までは下級馬でしたが、夏の函館開催から急成長。「戦後最大の上がり馬」と称されました。
メジロマックイーン (1990年菊花賞馬): 春は骨膜炎の影響で苦戦しましたが、夏に急成長し、菊花賞では重賞初出走ながら優勝。
マヤノトップガン (1995年菊花賞・有馬記念優勝馬): デビュー当初はダートで低迷していましたが、芝に転向して開花。菊花賞、有馬記念を連覇しました。
マチカネフクキタル (1997年菊花賞馬): 夏の福島競馬で力をつけ、秋には重賞を連勝。菊花賞も制しました。
ファインモーション (2002年秋華賞・エリザベス女王杯優勝馬): 春のクラシックレースを回避しましたが、夏の函館・札幌開催で活躍。秋華賞、エリザベス女王杯を制しました。
ヒシミラクル (2002年菊花賞馬): 初勝利まで10戦を要しましたが、その後は着実に勝ち上がり、菊花賞で10番人気ながら優勝。
オウケンブルースリ (2008年菊花賞馬): 体質の弱さから出走が遅れましたが、着実に力をつけて菊花賞を制覇。デビューから菊花賞制覇までの日数は、長らく記録として残りました。
スリーロールス (2009年菊花賞馬): デビュー戦は強豪馬と同じ世代でしたが、着実に力をつけて菊花賞を制覇しました。
ビッグウィーク (2010年菊花賞馬): 2戦目以降4連続2着と苦戦しましたが、初勝利をきっかけに急成長し、菊花賞を制覇しました。
トーホウジャッカル (2014年菊花賞馬): 腸炎の影響で出走が遅れましたが、短期間で急成長し、オウケンブルースリを上回る最短記録で菊花賞を制しました。
フィエールマン (2018年菊花賞馬): 体質の弱さから春のクラシックを回避しましたが、調整を経て菊花賞で優勝。キャリア4戦での菊花賞制覇は史上最少記録です。
ドゥレッツァ (2023年菊花賞馬): 蹄の故障で春のクラシックを回避しましたが、復帰後は順調に勝ち上がり、菊花賞で皐月賞馬、ダービー馬を破って優勝しました。

これらの馬たちは、それぞれ異なる背景や経緯を持ちながら、夏の鍛錬を経て大きな成長を遂げ、秋のG1レースで輝かしい結果を残しました。彼らの活躍は、競馬ファンにとって大きな感動と希望を与え続けています。 「上がり馬」は、競馬の魅力の一つとして、これからも多くの人々を魅了し続けることでしょう。

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