上の山古墳群

上の山古墳群

上の山古墳群（うえのやまこふんぐん）は、神奈川県横浜市都筑区仲町台に存在した重要な古墳群です。この古墳群は、古墳時代に築造されたとされ、確実に確認されているものは4基にのぼります。また、港北ニュータウン遺跡群の一部として、中世の墓地なども含む様々な遺構が集まった複合遺跡である上の山遺跡を構成しています。

立地

上の山古墳群は、鶴見川の支流である大熊川が形成した谷戸（大熊谷戸）の近くに位置します。標高約40メートルの仲町台の尾根筋から南向きに広がっており、その周辺には小さな支谷があります。この遺跡の北側には、大熊仲町遺跡という別の重要な遺跡が隣接し、さらに西側には上台の山遺跡が存在します。

調査の背景

現在の都筑区地域は、かつては多摩丘陵の一部であり、丘陵地帯と谷戸が広がる典型的な里山の風景が広がっていました。しかし、1965年に港北ニュータウン事業が発表され、この土地は30万人規模の大規模な住宅地に変貌することになりました。この大規模な開発に伴い、268ヶ所の埋蔵文化財包蔵地の中から200以上が1970年から1989年の間に発掘調査され、上の山遺跡もその中に含まれています。実際の発掘調査は1988年から1989年にかけて行われ、発見された遺構は後の研究において貴重な情報源となりました。今では、この地域は住宅地となり、古墳群は地形の変化によって削平されています。

調査結果

上の山遺跡の調査は、約16500㎡の南向きの尾根筋と西側の谷戸のエリアで行われました。その結果、旧石器時代から中世、さらには近世の遺構が複雑に重なりあって見つかり、上の山古墳群もその一部として確認されました。古墳群は5世紀末から6世紀初頭に築造されたとされ、円墳が3基、方墳が1基、さらに2基の横穴墓を含んでいます。それぞれの古墳は、尾根筋に沿って南北に一列に配置されており、番号が付けられています。

1号墳は直径19.4メートルの円墳で、周囲に幅1.6メートルから2.4メートルの周溝を持っていますが、埋葬主体部は削平されてしまったため確認できませんでした。出土品として土師器類が見つかっています。

2号墳は直径15.6メートルの円墳で、周溝の幅は1.3メートルから2.3メートルあります。こちらも同様に埋葬主体部は残っていませんが、土師器が発見されました。

3号墳、唯一の方墳は一辺9.5メートルで、独特な形状をしており、周溝から土師器が出土しています。埋葬主体部は残存しており、箱形木棺の中から布に包まれた剣や直刀が見つかりました。

4号墳は直径13.5メートルの円墳で、周溝の幅は0.9メートルから2.5メートルです。こちらも埋葬主体部は残っており、粘土槨内から鉄の矢じりや刀子が発掘されています。

以上のように、上の山古墳群はその特徴的な形状や出土品から、古墳時代の社会情勢や文化を知る手がかりとして非常に重要です。さらに、古墳群が築造された時期やその背後にある集団についての考察も進められており、地域の歴史を探る上で欠かせない存在となっています。

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