上ケ原

上ケ原（うえがはら）

兵庫県西宮市にある「上ケ原」は、江戸時代に上ケ原新田として開墾された地域を指す歴史的な総称です。現在の行政地名では、上ケ原一番町から上ケ原十番町、上ケ原山田町、上ケ原山手町が含まれるほか、門戸西町や上甲東園三丁目の一部もこの範囲とされることがあります。特に「上ケ原」を冠する現在の町名は、単独の町名として全域で住居表示が完了しており、丁目の区分がなく「番」と「号」で所在地が表示されます。

名称の由来

「上ケ原」という名は、この地が開発される以前の地形に由来します。当時は起伏のある台地上に集落や耕地がほとんどなく、台地の下の平野部に住む人々から見ると、まさに「台地の上の平原」であったことから名付けられたと考えられています。当初は周辺の村々の採草地として利用される程度でした。

歴史

上ケ原の歴史は、江戸時代前期の承応元年（1652年頃）に始まった新田開発とともに大きく動き出します。大坂から来た孫右衛門と九左衛門らが入植し、広大な土地の開墾に着手しました。開拓が進むにつれて定住者が集まり、「上ケ原新田」（後の上ケ原村）が形成されました。

新田開発の最大の課題は、高台にある上ケ原への用水確保でした。仁川上流からの取水が計画され、藩によるため池の設置や、すでに水を利用していた周辺の村々との間で水利に関する複雑な調整や協定が必要となりました。用水路の開削は困難を極め、岩盤地帯では岩山にトンネルを掘る大工事も行われました。開削後も度重なる修復や改良が加えられ、着工から半世紀以上を経た享和3年（1803年）にようやく上ケ原用水路が完成しました。この用水路は地域の農業を支え、現在では西宮市指定文化財（史跡）となっています（1981年指定）。

地理

上ケ原地域は、東を上甲東園、岡田山、西を五月ケ丘、南を一ケ谷町、北を仁川百合野町などと接する台地上の地形が特徴です。

交通

地域には山陽新幹線が地下を通りますが駅はありません。主要な公共交通は東側の阪急電鉄今津線で、大半の最寄り駅は甲東園駅ですが、南部の門戸西町など一部地域では門戸厄神駅の方が近い場所もあります。バス路線も運行されています。

主な施設・史跡

上ケ原は教育機関が集まる地域です。

教育機関:
関西学院大学西宮上ケ原キャンパス
西宮市立上ケ原中学校、上ケ原小学校
（近隣）関西学院大学西宮聖和キャンパス、神戸女学院大学岡田山キャンパス
公共施設:
西宮市立上ケ原公民館（図書館分室併設）- 六軒町
寺社:
上ケ原八幡神社（上ケ原山田町）
文化財・史跡:
関西学院大学時計台 - 国の登録有形文化財
関西学院構内古墳 - 西宮市指定史跡
上ケ原用水路 - 西宮市指定史跡

地価

近年の代表的な公示地価（2024年1月1日時点）の例です。

上ケ原四番町4番13号: 243,000円/m²
上ケ原十番町1番5-13号: 198,000円/m²

関連情報

上ケ原の歴史に関する書籍として、中村直人著『歴史のなかの上ケ原』などがあります。

もう一度検索