上久保達夫

上久保達夫

（かみくぼ たつお）

日本の教育社会学者であり、皇學館大学の元文学部教授。農学、教育社会学（特に家族、異文化間教育、地域に関する分野）、および幼児教育論を専門とする。

経歴と学歴

1948年9月29日、京都府京都市に生を受ける。幼少期に広島県へ移り、同地で育つ。1967年3月、修道高等学校を卒業。高等教育は京都大学で受け、1972年3月には農学部を、1976年3月には教育学部をそれぞれ卒業した。その後、研究を深めるべく大阪教育大学大学院に進学し、1982年に教育学研究科修士課程を修了。この際、「家族論研究序説：日本の家族論を中心にして」と題した論文を提出し、教育学修士の学位を取得した。

研究者・教育者としてのキャリアは、中京短期大学での勤務から始まった。2000年からは皇學館大学文学部に着任し、教授として教鞭をとった。2014年までその職を務めている。

学位取得の面では、修士課程修了後も研究を継続し、2003年には京都大学より博士（農学）の学位を授与されている。博士論文のテーマは「現代農山村における「地域生活者」像に関する研究：岐阜県における山村住民を事例として」であり、農山村地域の住民生活に対する深い洞察を示すものであった。

研究分野

上久保達夫氏の専門分野は多岐にわたる。基盤となる農学に加え、教育社会学が主要な研究領域である。特に、教育社会学においては、現代社会における家族のあり方、異なる文化背景を持つ人々との関わりにおける教育の役割（異文化間教育）、そして特定の地域社会、特に農山村における生活や教育の問題に関心を寄せ、研究を深めた。また、幼児教育論にも造詣が深い。これらの分野は互いに関連し合い、氏の研究活動に多様な視点をもたらしている。

主な著作

上久保氏の学術的成果は、多くの著書としてまとめられている。単著としては、博士論文を基にした以下の書籍がある。

『農山村地域生活者の思想―事例による実証的研究』（御茶の水書房、2004年）

また、様々な研究者との共同作業による共著も複数出版している。

（木村雅文と共著）『社会学講義』（八千代出版、1992年、1993年に増訂版）
（奥田隆男、長志珠絵、鄭瑛恵、星宮智光、宮坂靖子と共著）『現代家族論』（化学同人、1995年）
（高杉自子、玄田初栄と共著）『保育人間関係の実際』（建帛社、1999年）
（アジア・エートス研究会と共著）『アジア・エートス研究会-その四十年の軌跡-』（あるむ、2003年）
（皇學館大学コミュニケーション学科と共著）『コミュニケーション力とは何だろう』（皇學館大学講演叢書第120輯）（皇學館大学出版部、2008年）
* （皇學館大学コミュニケーション学科と共著）『コミュニケーションの風景』（皇學館大学コミュニケーション学会、2009年）

これらの著作は、氏の研究対象である家族、地域、社会、教育といったテーマに対する知見を示すものである。教育者としても、皇學館大学での長年の勤務を通じて、多くの学生の指導にあたった。氏の研究と教育への貢献は、関連分野における重要な足跡として認識されている。

もう一度検索