上原清吉

上原 清吉：本部御殿手古武術の生誕

上原 清吉（うえはら せいきち、1904年3月24日 - 2004年4月3日）は、本部御殿手古武術の第12代宗家として知られる沖縄の武道家です。彼は本部朝勇の高弟であり、沖縄の古武術界に多大な影響を与えました。彼の人生は、武道への情熱と献身で溢れており、その偉業は今も多くの人々に語り継がれています。

生い立ちと経歴

上原は1904年、沖縄県島尻郡小禄村（現在の那覇市小禄）に生まれました。裕福な農家の五男として育ちましたが、家庭の経済状況が厳しくなり、上原は小学校を卒業後、家業を手伝うことになりました。この経験が彼の生涯における価値観や信念に影響を与えたのかもしれません。

武道との出会い

彼の武道の旅は1916年に始まりました。本部朝勇の道場に入門し、琉球王家の武芸を学ぶことになります。上原は本部朝勇の下で本部御殿家伝の武術を修得し、その技能を磨いていきました。1924年、彼は首里城南殿での演武大会に参加し、師と共にその実力を披露しました。翌年には那覇の大正劇場での唐手大演武大会に出演し、多くの著名な武道家たちと並ぶ機会を得ました。

フィリピンでの活動

1926年、上原は兄を頼ってフィリピンのダバオへ移住し、多数の日本人入植者がいるなかで武道を教え始めました。1941年までの約15年間、この土地で唐手と琉球古武術の指導を行いました。戦争が勃発すると彼は軍属として従事し、戦場の厳しい現実に直接向き合うことになります。

帰郷と新たな道

1947年に沖縄に戻った上原は、武道に対する思いと戦争の経験に悩まされる時期を過ごしますが、1951年には再び武術指導を開始しました。1961年には本部流古武術協会を設立し、古武道の普及に尽力しました。その後も多くの武道家との連携を深め、沖縄古武道協会を結成するなど、伝統武術の発展に寄与しました。彼の努力によって本部御殿手も一般に広まっていきました。

晩年と影響

1982年には全沖縄空手古武道連合会の会長に就任し、1984年には日本古武道協会に加盟。上原は自身の流派を本部御殿手に改名し、さらなる普及に努めました。その成果として、彼は勲六等単光旭日章を受章し、1985年には古武道功労者表彰を受ける栄誉に浴びました。2004年には101歳の生涯を閉じましたが、彼の武道に対する情熱と影響は決して色あせることはありません。

人柄と弟子への愛

上原は武道家としてだけでなく、人間としても非常に温厚で人当たりの良い性格でした。弟子や他流の武道家からも広く尊敬を受け、多くのエピソードが彼の優しさを物語っています。武道大会で弟子が怪我をすることを非常に嫌い、常に弟子の安全を最優先に考えていました。そのため、彼の指導する流派では大きな怪我が出ることはほとんどありませんでした。

さらに、上原が1962年に参加した八光流柔術の講習会は、彼の武道に新たな影響を与えたとも言われていますが、これに関しては彼が既に取手術を教授していた事実が後に明らかになり、誤解が解消されました。

上原清吉の人生は、武道への情熱、伝統の継承、そして弟子を思いやる心をもっています。彼の教えは今なお多くの武道家に受け継がれ、沖縄の武道界における重要な人物として位置づけられています。

もう一度検索