上大岡トメ

上大岡 トメ（かみおおおか とめ）は、1965年に生まれた日本のイラストレーターであり、エッセイストです。彼女は、温かみのあるイラストと、読者の心に寄り添うエッセイで広く知られています。実姉は地震学者で、京都大学大学院理学研究科教授を務める久家慶子氏です。

東京都で生まれ、神奈川県横浜市で幼少期から学生時代を過ごしました。神奈川県立光陵高等学校を卒業後、1988年には東京理科大学工学部建築学科を修了しています。大学卒業後は大成建設での勤務経験を持ち、一級建築士の資格も有していますが、やがてイラストレーターとしての道を歩み始めました。

作家活動においては、数々の著書を世に送り出しています。中でも特筆すべきは、2004年7月に幻冬舎から発表された『キッパリ! たった5分で自分を変える方法』です。この本は発行部数が100万部を超える大ベストセラーとなり、彼女の名前を一躍広めるきっかけとなりました。この成功を受けて、2005年11月には続編となる『スッキリ! たった5分間で余分なものをそぎ落とす方法』も刊行され、こちらも多くの読者に迎えられました。

ただし、『キッパリ!』には、情報万引きを推奨していると受け取られかねない表現が含まれていたため、一部で問題視された時期もありました。これについては後に該当箇所が修正されています。また、同書はTBS系列でテレビドラマ化され、さらに多くの人々にその内容が届けられました。

イラストレーターとしては、書籍や雑誌の挿絵、広告など多方面で活躍しています。例えば、ベネッセコーポレーションの育児関連書籍や、進研ゼミ小学講座、「こどもちゃれんじ」の保護者向け情報誌などで彼女のイラストを見ることができます。また、地域密着型の活動として、エフエム山口のキャラクター「緑山タイガ」のデザインも手掛けるなど、幅広い分野でその才能を発揮しています。

現在も精力的に活動を続けており、特にウェブメディアでの連載は長年にわたります。「ほぼ日刊イトイ新聞」や「Shes.net」などで継続的にエッセイやイラストを発表し、読者とのつながりを大切にしています。さらに、ラジオの世界にも活動の場を広げ、福岡県のCROSS FMの番組『クロサタX』内にあるコーナー「新ことわざ研究所」では、研究所長としてレギュラー出演し、ユーモアあふれる語り口で人気を集めています。このコーナー開始以前にも、同番組にはゲストとして招かれた経験があります。

多忙な創作・メディア活動の傍ら、プライベートでは趣味の時間も大切にしています。神社を巡る「神社さんぽ」や、バレエ、ヨーガなどを楽しんでいるとのことです。また、自身の特技として「いい姿勢を保つこと」を挙げており、元建築士らしい一面を覗かせています。自身を「神様マニア」と公言するなど、興味の幅広さやユニークな人柄も魅力の一つです。

これまでに発表した主な著作には、『ふくもの―「幸せお届けします」』『しろのあお』シリーズ、『これでもかーちゃんやってます』『トメさんちの愛犬マヤ』などがあります。脳研究者の池谷裕二氏と共同で執筆した『のうだま』シリーズや、実姉・久家慶子氏との共著『生き延びるための地震学入門』など、専門家とのコラボレーション作品も手掛けており、その知的好奇心の旺盛さがうかがえます。近年も、『日本のふくもの図鑑』『宿坊さんぽ』『祭りさんぽ』といった生活や文化に根差したテーマの作品や、『縁切り神社でスッキリ! しあわせ結び』『老いる自分をゆるしてあげる。』『マンガで解決 親の介護とお金が不安です』など、現代人の悩みや関心事に寄り添った作品を発表し続け、多角的な視点から読者にメッセージを送り届けています。

親しみやすいイラストと心に響く文章で、多くの人々に寄り添う上大岡トメ氏。その活動は、今後もさらなる広がりを見せることでしょう。

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