上大川前通

上大川前通（かみおおかわまえどおり）

新潟市中央区に所在する市道、およびその沿道の町名です。現在の行政区分では、上大川前通1番町から12番町までが設定されていますが、住居表示はまだ実施されていません。この地域の郵便番号は951-8068です。

概要

上大川前通という町名が定められたのは明治5年（1872年）のことです。それ以前は単に「大川前通」と呼ばれていましたが、新潟町の区画整理に伴い現在の名称に改称されました。「大川」とは、文字通りこの町が隣接する信濃川を指しています。

地理

地理的には、雄大な信濃川の河口近く、その左岸に位置しています。中心市街地の主要な通りである本町通とほぼ平行して南北に細長く伸びる形状です。通りの区分は、上手側（白山神社方面）を起点として1番町から12番町まで連番が振られています。交通面では、2番町から11番町にかけて下手方向への一方通行規制が敷かれています。

この通りから東西に直交する細い道は、古くから「小路（こうじ）」と呼ばれ、独特の町並みを形成しています。

歴史

上大川前通の歴史は、承応3年（1654年）に新潟町が現在の場所へ移転した際に計画的に整備されたことに始まります。これは、町が移転する前の「大川端通」に相当する位置にあたります。

江戸時代には、通りの区画ごとに営まれる商売の種類によって地域が分けられていました。例えば、川で運ばれてきた材木を扱うことが許されていた場所は「材木町」と呼ばれ、現在の1番町から3番町にあたる区域でした。

一本西側にある本町通が、いち早く整備され商業の中心として「表店（おもてだな）」と呼ばれ賑わっていたのに対し、大川前通はやや遅れて整備が進んだため、「他門（たもん）」という別名で呼ばれることもありました。

新潟町は、信濃川からの土砂堆積によって川岸が移動したため、移転を余儀なくされた経緯がありましたが、移転後も依然として土砂の流入は続きました。江戸時代中期になると、町の東側には秣島や榛島、上島、下島といった大きな砂州や島が次々と形成されていきました。これらの島と町の本体の間にはわずかな水路が残り、堀と川を結ぶ重要な水運路として利用されました。この水路は、大川前通が「他門」と呼ばれていたことにちなんで「他門川」と名付けられました。

やがて、新たにできた島の上に形成された町（島裏）も発展し、旧市街地と一体化していきました。この過程で、かつての大川前通は「上大川前通」と呼ばれるようになり、島の東端に形成された通りは「下大川前通」と呼ばれるようになりました。通りの町名には長らく統一性がありませんでしたが、明治5年（1872年）10月に、上手側から現在の1番町から始まる通し番号が付与され、整理されました。

近代に入ると、特に7番町から8番町にかけての区域は、新潟証券取引所や新潟中央銀行本店などが立地し、商工会議所や都市銀行の支店も集まるなど、新潟経済の中枢としての役割を担いました。

年表

1872年（明治5年）10月: 新潟町の町域改編に伴い、「大川前通」から「上大川前通」に改称。
1879年（明治12年）4月9日: 新潟町が区制へ移行し、新潟区の町丁となる。
1889年（明治22年）4月1日: 新潟区の市制施行により、新潟市の町丁となる。
1954年（昭和24年）3月25日: 住宅密集地で火災が発生、21棟が焼失。
1970年（昭和45年）11月11日: 未明に四丁目の事業所から出火、26棟が全焼。
2007年（平成19年）4月1日: 新潟市の政令指定都市移行に伴い、中央区の町丁となる。

上大川前通は、新潟の歴史とともに歩み、河川改修や都市の発展の中でその姿を変えながらも、現在に至るまで市の重要な一角を占めています。

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