新潟中央銀行

新潟中央銀行：地方銀行の破綻と教訓

新潟中央銀行は、かつて新潟県に存在した第二地方銀行であり、1999年10月2日に経営破綻しました。本記事では、その概要、沿革、経営破綻の背景、そして破綻後の処理について詳細に解説します。

概要

新潟中央銀行は、新潟相互銀行が普通銀行に転換したことに伴い、1989年2月1日に発足しました。本店は新潟県新潟市（現・中央区）に位置していました。

しかし、1999年10月2日に経営破綻し、その店舗の営業は第四銀行や大光銀行などの地方銀行に移管されました。相互銀行時代には「ゆきつばき」を行章に使用し、「ゆきつばきの銀行」として親しまれていました。普通銀行への転換時には「新潟銀行」という名称を希望していましたが、第四銀行との混同を避けるため、「新潟中央銀行」という名称が採用されました。ちなみに、当時の公式サイトのドメインは「niigatabank.co.jp」でした。

マスコットキャラクターには、人気アニメの「トムとジェリー」を採用していました。福岡中央銀行、静岡中央銀行、山梨中央銀行と共に、民営の銀行で「中央」の名を冠する数少ない銀行の一つでした。

沿革

バブル崩壊と経営破綻

不動産バブル期、相互銀行から普通銀行への転換期に、特に5代目頭取の大森龍太郎氏による同族経営とワンマン経営が深刻化しました。採算性を考慮しない乱脈融資が横行し、バブル経済末期から平成不況にかけて、全国各地にゴルフ場や遊園地を次々と開設したことが、後に大きな痛手となりました。

具体的には、笹神ケイマンゴルフ場、東軽井沢ゴルフクラブ、富士中央ゴルフ倶楽部のほか、ゴールデンリング構想と称された新潟ロシア村、柏崎トルコ文化村、富士ガリバー王国などの遊園地が開業されました。これらの施設は、ファミリー企業のような形で実質的に支配下に置かれた各デベロッパー会社に対して、多額の融資を行って開業させたものでした。これらの他にも、建設業やリゾート開発など、不動産関連業種への融資に偏重したことが、不良債権の急増を招きました。

経営破綻

バブル崩壊後の1999年6月、金融再生委員会は新潟中央銀行が自己資本不足に陥っていると判断し、早期是正措置を発動しました。銀行内では同年9月までに約200億円の第三者割当増資を計画しましたが、主力割当先と期待された英会話教室チェーンのNOVAをはじめとする各社が、先行きを懸念して引き受けを拒否する事態が発生しました。

1999年9月下旬以降、預金流出が加速し、10月1日には自己資金不足による債務超過から、銀行間内国為替業務における為替決済取引上の債務不履行が発生しました。日本銀行（日銀）が債務不履行分を立替払いして事態を収拾しましたが、これにより経営陣は自主経営を断念することになりました。10月2日、経営陣が金融再生法に基づく破綻処理を申請し、金融再生委員会がこれを認めて経営破綻しました。新潟中央銀行のケースは、預金取扱金融機関が銀行間の内国為替決済システムで決済資金に支障を発生させた平成初の事例となりました。日銀が立替払いした金銭は、後に日銀特融へ振り替えられました。

この年は第二地方銀行の経営破綻が相次ぎ、当行で5行目となりました。当行と国民銀行、幸福銀行、東京相和銀行は同族経営であったという共通点がありました。

破綻処理

2000年12月21日までに、金融整理管財人は第四銀行、大光銀行、群馬銀行、東和銀行、八十二銀行、東日本銀行との間で営業譲渡契約を締結しました。2001年5月11日までに新潟中央銀行としての営業を終了させ、5月14日付けで店舗網と預金・正常債権が分離された上で、各受皿銀行へ譲渡・承継されました。

具体的には、新潟県内の79店舗のうち13店は大光銀行へ、直江津支店と長野県内の店舗は八十二銀行へ、群馬県内の店舗は群馬銀行へ、埼玉の大宮と与野、都内の新宿と上野の店舗は東日本銀行がそれぞれ経営譲渡を受けました。県外の店舗は、ほとんどが受皿行の既存店へ吸収されました。

旧経営陣は親密先企業に対して複数の不正融資を行い、銀行に損害を与えていました。1998年から1999年5月頃にかけては、富士中央ゴルフ倶楽部の運営会社に行った約30億円の融資案件について、迂回融資の手法で杜撰な審査に基づき損害を与えたとして、管財人から旧商法の特別背任容疑で告発・立件され、2001年1月に逮捕・起訴されました。

大森元頭取については、2003年の一審で有罪判決を受け、後に確定し収監されました。また、整理回収機構（RCC）が行った旧経営陣への31億6000万円の損害賠償請求訴訟については、大森元頭取ら一部で和解が成立しています。

破綻の一因となった融資先のテーマパークは、同行破綻後間もなく閉園され、一部は短期間地域で活用されたものの、再利用の目処が立たず廃墟状態となりました。ゴルフ場については、同行解散までに破産管財人が経営権を売却した上で、存続した施設もあります。

2004年11月、事実上最後の頭取であった大森龍太郎が刑務所内で体調を崩し、搬送先の病院で腸閉塞のため死去しました。2001年6月30日付で会社は解散しましたが、その後も清算事務は続き、2006年10月26日の清算臨時株主総会にて清算が決議されました。翌11月閉鎖登記手続が行われ、法人格が消滅しました。

まとめ

新潟中央銀行の経営破綻は、バブル期の乱脈融資とずさんな経営体制がもたらした悲劇でした。その破綻は、地域経済に大きな影響を与え、多くの教訓を残しました。金融機関は、健全な経営とリスク管理の重要性を改めて認識する必要があります。

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