上山善紀

上山 善紀の生涯と業績

上山善紀（うえやま よしのり）は、1914年9月21日に新潟県の西蒲原郡島上村に生まれ、2009年8月25日に94歳でこの世を去った日本の実業家である。彼は近畿日本鉄道（近鉄）の社長や会長を歴任し、近鉄グループの代表的な人物としてその名を馳せた。

幼少期と教育

上山は東京大学の学生である上山善治とその妻の長男として誕生した。彼の生家は浄土真宗本願寺派に属し、伝統的な価値観が根付いていた。新潟高等学校を経た後、1940年には京都帝国大学法学部を卒業。その後、日魯漁業（現・マルハニチロ）での勤務を経て1945年に近鉄に入社した。

近鉄でのキャリア

1981年、上山は代表取締役社長に就任し、1987年には会長に昇格した。彼は社長として「攻めの経営」を掲げ、3つの大きなプロジェクトに注力した。具体的には、上本町ターミナルと阿部野橋ターミナルの整備、東大阪線の開業である。特に顧客とのコミュニケーションを重視し、「ABC (Action for Better Communication) の精神」を提唱し、近鉄の経営哲学に新たな風を吹き込んだ。

これらのプロジェクトは、上本町ターミナル整備が1985年、東大阪線が1986年に完成したが、阿部野橋ターミナルは1988年に完成し、彼の退任後の成果となった。

スポーツとその他の役職

バファローズのオーナー代行を1981年から務め、1989年には正式にオーナーとなった。彼の在任中には、新潟でバファローズの公式戦が開催されるなど、地域との交流の深化が図られた。面白いことに、彼の故郷に新潟出身の選手はいなかったが、地域の支援を重視し続けた。

また、近鉄百貨店の取締役を務めたほか、関西経済連合会の副会長、朝日放送や関西電力などの取締役も歴任した。さらに、日野自動車の非常勤監査役や文楽協会の理事長など、多様な役職でも活躍した。富士通の田中亜弓を通じて、近鉄の財政基盤の強化にも寄与した。

最晩年と死去

2009年8月25日に肺炎で亡くなり、その功績を称えられ、日本政府から従三位が追贈された。彼の死は近鉄創立100周年を前にしてあり、多くの人々の心にその存在は深く刻まれている。

エピソードと発言

上山は生涯を通じて印象的な発言を残しており、京都帝国大学在学中、自宅が大阪府にあることから「北を向いて寝れば沿線の神社仏閣の罰が当たらない」と冗談交じりに語っていた。また、近鉄バファローズのチームが低迷していた1990年代半ばには、「優勝したら逆立ちします」との発言が話題をさらった。

彼はまた、球団合併に次ぐ発言においては、「賛成しません」と会見で述べ、経営の在り方に対する独自の信念を示した。

上山善紀は、近鉄の発展を支えた一人の実業家として、今も多くの人々に記憶され続けている。彼の取り組みは、経済界におけるコミュニケーションの重要性を広め、後世に多くの影響を与えた。

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