上掵遺跡

上掵遺跡：縄文時代の巨大磨製石斧が眠る場所

秋田県雄勝郡東成瀬村田子内、河岸段丘に位置する上掵遺跡は、縄文時代の遺構として知られています。特に注目されるのは、この地から出土した巨大な磨製石斧です。

道路工事が生んだ発見

昭和40年（1965年）頃、道路工事中に偶然発見された磨製石斧は、深さ1メートルの地中から4本まとまった状態で姿を現しました。その大きさは以下の通りです。

長さ60.2cm、最大幅10.0cm、厚さ4.3cm、重さ4.4kg
長さ59.4cm、最大幅7.9cm、厚さ2.0cm、重さ1.4kg
長さ50.0cm、最大幅7.4cm、厚さ4.3cm、重さ3.2kg
長さ36.7cm、最大幅4.3cm、厚さ4.3cm、重さ2.3kg

これらの石斧の中でも、最大のものは長さ60.2cmを誇り、国内で出土した磨製石斧としては最大級のものです。

特徴的な出土状況と祭祀の可能性

上掵遺跡出土の磨製石斧の特徴は、その大きさに加え、他の遺物を伴わず4本がまとまって出土した点にあります。緑色凝灰岩で作られた石斧は、縄文時代前期に特徴的な擦切技法によって丁寧に磨き上げられ、美しい光沢を放っています。しかし、使用痕が見られないことから、実用品ではなく、当時の祭祀に使用された可能性が指摘されています。

韓国の事例との比較

大型石斧を特殊な用途に使用した例として、韓国新石器時代の墳墓における副葬品が挙げられます。厚浦里遺跡では、大小さまざまな石斧130点余りが人骨と共に埋葬されていました。この遺跡から出土した最大の磨製石斧は54cmでしたが、上掵遺跡の石斧はそれを上回る大きさです。

現在の保管場所

上掵遺跡から出土した貴重な磨製石斧は、現在、秋田県立博物館に所蔵・保管されており、その歴史的価値を今に伝えています。

参考文献

『おもしろ秋田むかし考』（冨樫泰時著、無明舎出版、1990年9月）

関連事項

石斧
* 磨製石斧

上掵遺跡の磨製石斧は、縄文時代の祭祀や精神文化を考察する上で重要な資料であり、その存在は日本の古代史に新たな光を投げかけています。

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