上杉家文書

上杉家文書は、鎌倉時代から江戸時代にかけて、旧米沢藩主である上杉家に伝えられた古文書群です。2001年（平成13年）に、2018通、4帖、26冊が武家文書として初めて国宝に指定されました。上杉氏は、もともと越後国の守護代であった長尾氏の系譜を引く氏族であり、戦国時代には長尾景虎（上杉謙信）が関東管領・山内上杉氏の名跡を継ぎ、上杉氏を称するようになりました。そのため、上杉家文書には、謙信期以降の戦国大名や近世大名としての上杉家の文書に加え、関東を拠点とした山内上杉氏、越後長尾氏に伝わる文書群も含まれています。

これらの文書は、近代まで上杉家の子孫が所持していましたが、1989年（平成元年）に上杉家から米沢市に寄贈され、現在は米沢市上杉博物館が保管しています。

上杉家文書の特色は、その保存状態にあります。大部分の文書が軸装や巻子装などに改装されず、受け取った時のままの形態で保存されています。書札礼を考察する上で重要な折り方や包み方などもそのまま残されており、文書の本来の姿を知る上で非常に高い学術的価値を持っています。

また、文書の内容も多岐にわたっており、上杉家の家伝文書だけでなく、上杉家臣や地域国衆、外交関係のあった他大名家が発給した文書なども含まれています。これらの文書は、上杉家だけでなく、近世大名として存続することなく宗家の家伝文書が散逸している甲斐武田氏などの他の戦国大名家や、地域史の研究においても重要な資料として活用されています。

上杉家文書は、1979年（昭和54年）6月6日に重要文化財に指定されました。その後、2001年（平成13年）6月22日には、従来未指定だった文書48通14冊、文書箱等3合2棹が追加指定され、以下の名称で国宝に指定されました。

国宝指定内容
上杉家文書 2,018通、4帖、26冊
附:歴代年譜（14部）325冊
附:両掛入文書箱等並赤箪笥 3合2棹

また、上杉家文書の一部として1979年に重要文化財に指定されていた「越後国頸城郡絵図・越後国瀬波郡絵図」（附:越後国絵図）は、2001年に絵図のみが改めて重要文化財に指定されました。

上杉家文書は、日本の歴史を研究する上で欠かせない貴重な資料であり、その保存状態や内容の多様性から、学術的に非常に高い価値を有しています。上杉家文書は、米沢市上杉博物館で保管されており、一般公開もされています。

参考文献
「新指定の文化財」『月刊文化財』453号、第一法規、2001

関連項目
上杉神社（上杉家伝来の工芸品・美術品が伝わる）
洛中洛外図屏風

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